5.評価方針
(1)目的
ボリビアは,天然ガスや鉱物,希少金属などの天然資源に恵まれながら,国民の60%が貧困層に属する南米の最貧国である。このような状況の中,ボリビアに対する日本のODAは,「貧困削減のための社会開発支援」及び「持続的経済成長のための支援」の二本の柱を基本方針とし,(a)社会開発(教育,保健・医療,水と衛生,地方開発),(b)生産力向上(生産・経営技術向上,持続可能な鉱業,経済インフラ整備),(c)ガバナンス強化の3点を重点分野として実施されている。本評価は,日本の対ボリビア援助の意義を踏まえ,ボリビアの政治・経済・社会状況および開発政策を分析した上で,日本の対ボリビア援助政策を全般的に評価し,今後の対ボリビア援助政策のための教訓や提言を得て,今後の政策立案・実施に役立てることを目的としている。
(2)対象・時期
本評価では,日本の対ボリビア国別援助計画を対象とし,主に「政策の妥当性」,「結果の有効性」,「プロセスの適切性」の観点から評価を行った。第一に,「政策の妥当性」については,2009年4月に策定された,「対ボリビア国別援助計画」を主な評価対象とした。但し,国別援助計画が策定されてからまだ日が浅いことから,必要に応じて国別援助計画策定以前の対ボリビア援助政策に遡り評価を行った。第二に,「結果の有効性」については,2009年の「対ボリビア国別援助計画」及び,それ以前の対ボリビア援助政策などで決定した重点課題を踏まえた援助が行われているかについて評価を行った。第三に,「プロセスの適切性」については,援助方針の策定と実施のプロセスにおいて,被援助国政府,実施機関,他ドナー(NGO,国際機関など)との協議がなされ,情報が共有されていたかを検討した。
(3)方法
本件評価では,「政策の妥当性」,「結果の有効性」,「プロセスの適切性」という3視点により,対ボリビア援助に向けた日本の取り組みを総合的に評価分析した。
「政策の妥当性」については,我が国の対ボリビア援助政策の援助目的・重点分野等の「妥当性」について,主として(a)相手国の開発ニーズとの整合性,(b)日本及び相手国の上位政策との整合性,(c)国際的な優先課題との整合性,(d)他ドナーとの関連性,(e)我が国の比較優位性などを評価した。
「結果の有効性」については,我が国の援助のインプット・アウトプットを確認した上で,当初設定された目標がどの程度達成されたか,また,当初設定された重点課題である,(a)社会開発,(b) 生産性向上,(c) ガバナンス強化という3分野毎に結果の有効性を分析し,最終的に同国における貧困削減のための社会開発支援及び持続的経済成長のための支援に与えたインパクトを評価した。
「プロセスの適切性」については我が国の対ボリビア援助政策の立案・実施において適切な協力・協議・確認等があったかどうか,それらが効率的になされていたかどうかを確認した。
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