7.提言
(1) ジャムナ河東岸国道の改善
運輸セクタープログラムは,大幅な交通量の増加に直面している。ジャムナ橋アクセス道路はすでにそのキャパシティーを超えて利用されており,息の詰まるような渋滞を引き起こしている。ボンゴボンドゥ橋(ジャムナ橋)は東部地域国道におけるキャパシティーをはるかに超えた交通量となっている。このことは,今後輸出や産業に悪影響を及ぼすこととなる。国道の拡張,およびダッカ・チッタゴン間を結ぶ代替ハイウェーの調査を優先的に行うことが不可欠である。
(2)バランスの取れた複合的交通手段の開発
バングラデシュでは,道路,鉄道,内水路等の複合的交通手段につき不均衡な開発が行われている。道路網の負荷を軽減し,バランスの取れた効率的な交通システムを構築するためにも,道路以外の他の2つの交通手段(注:鉄道,内水路)についても開発を進めることが急務である。
(3)道路交通の安全に対する配慮
バングラデシュは深刻な交通安全問題に直面しており,その状況は悪化傾向にあり,交通事故死者数も増加している。バングラデシュは,車両1万台につき事故死亡者数100名以上という,交通事故による死亡率が最も高い国の一つである。また,交通事故は,約500億タカ(約8億5000万米ドル),すなわちGDPの約2%ものコストをバングラデシュに課していることとなる。右は,交通安全問題が深刻な国家的課題であることを示している。
(4)モングラ港の開発
モングラ港の開発の成果に鑑みれば,事業の実施は効果があったといえる。パクシーおよびルプシャの二箇所の架橋は長年必要とされてきたが,その架橋が実現したことにより,効果的な道路交通が達成された。また,両橋は国内の北西部と南西部をつなぎ,モングラ港へのアクセスを容易にしている。道路網を有効に活用するためにも,地域の輸出入を促進するモングラ港の開発は不可欠である。
(5)厳格なPQおよび徹底的な調査の必要
パクシー橋に関しては,第一落札者が建設契約に署名できなかったことから,プログラムの大きな遅れを招いた。アクセス道路およびルプシャ橋建設の土壌調査も不十分で不適切な面があった。建設契約に先立つ事前調査は入念に実施することが重要である。また,入札業者による「受注取りやめ」といった事態を回避するためにも,入札業者に対して,より厳しい資格審査(PQ)を予め行うことが必要である。
(6)契約実施のための事前計画
パクシー橋の完成時期は6ヶ月半遅れているが,これは作業用地を予定通り引き渡すことが出来なかったためである。実施団体(バングラデシュ運輸省道路局)が詳細な事前計画を怠り,その結果,貴重な時間と予算に損失を与えるものである。 |