1.評価対象プロジェクト: |
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国立水産開発研究所建設計画 |
(2) |
水産資源評価管理計画 |
(参考視察プロジェクト: |
国立漁業学校設立計画(無償資金協力)
国立漁業学校計画(プロジェクト方式技術協力)) |
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(クリックすると画像が変わります)
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2.国名: アルゼンチン |
3.援助形態:
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無償資金協力、92年度、14.3億円 |
(2) |
プロジェクト方式技術協力、94年~99年度
専門家派遣:長期7名、短期15名
研修員受入:15名
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(参考視察プロジェクト: |
無償資金協力(83年、11億円)
プロジェクト方式技術協力(84~89年)) |
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4.評価者:川村軍蔵 鹿児島大学水産学部教授 |
5.現地調査実施期間:2000年4月1日~10日 |
6.プロジェクトの分野:水産 |
7.プロジェクトの目的:
アルゼンチン海域の漁業資源はアルゼンチン漁船に加え日本漁船を主とする外国漁船も利用してきた。アルゼンチン政府の漁業資源管理政策はアルゼンチン唯一の水産研究所である国立水産開発研究所(INIDEP)が提供する科学的研究成果に基づくことになっているが、INIDEPの建物は極度に老朽化して研究機能に支障をきたしていた。
これらの協力は、研究所の建設と研究機材供与・技術移転によってINIDEPの漁業資源評価研究能力を向上させることを目的とする。
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8.評価結果:
(1) |
水産分野における経済協力はアルゼンチン海域の低開発漁業資源の持続的利用を技術的に支援して、アルゼンチン経済の持続的経済発展に寄与することを目指している。持続的漁業開発には開発技術と管理技術の両方が必要である。INIDEPへの協力の前に漁船乗組員養成機関である国立漁業学校にも水産無償資金協力とプロジェクト方式技術協力を行っており、アルゼンチン政府の漁業資源開発経済政策に適合していて妥当性の高い協力であると評価される。 |
(2) |
JICA派遣専門家によるINIDEP研究職員へ行われた技術移転は、目的が明瞭で技術レベルは適切であった。専門家とINIDEP研究職員が行った技術開発共同研究は予定された期間内に目的を達成し、得られた研究成果は資源評価に必要なもので技術的・学術的に高く評価される。 |
(3) |
INIDEPに投入された施設・機材・人材は十分活用されており、研究を継続させるために必要なリソースは確保されていて自主管理能力は申し分なく、今後も自立的発展を遂げることが期待される。また、アルゼンチン政府の漁業資源管理政策にはINIDEPの研究成果が活用されている。 |
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9.提言(今後のフォロー・アップ、改善すべき点等):
本案件では漁業資源の評価研究能力は強化されたが、行政の範疇に入る資源管理は直接的には協力の対象としていない。現在、資源管理策の実施にあたってアルゼンチン国内に種々の混乱が生じている。本案件の成果を行政に反映させるには、我が国がこれまで培ってきた資源管理のノウハウをアルゼンチン側に移転し、適切な資源管理に寄与することが望まれる。また、INIDEPには我が国の海外漁業協力財団(OFCF)によるヒラメ等の海産魚類養殖の技術協力が行われているが(現在、専門家3名派遣)、一層効率的な水産分野での援助を行っていくためにも、OFCFの事業との役割分担の明確化や連携と、現地公館他の関係者による情報の共有化が望まれる。
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10.外務省からの一言:
OFCF事業の成果の有効利用を含め関係行政機関の行う技術協力の企画及び立案の調整に努め、一層効率的な援助の実施を図っていきたい。
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