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アフリカに対する貿易・投資分野協力評価
(プログラムレベル評価)

1.評価対象
(1)対象国: ケニア、タンザニア、エチオピア、ガーナ、カメルーン、南アフリカ共和国、エジプト、チュニジア、モロッコ、インドネシア
(2)調査対象: 我が国の貿易・投資分野協力(1998年度~2002年度にJICAにより実施された研修員受入・専門家派遣事業)
2.評価実施者:
 関川 弘司 (財)国際開発センター研究嘱託
 石塚 哲也 (財)国際開発センター研究員
3.調査実施期間:2003年2月13日~同年3月31日
4.評価の目的:
 1998年我が国が中心となって推進してきた「第2回アフリカ開発会議(TICADII)」以降、アフリカの貧困削減と世界経済への統合というコンセプトで、アフリカの貿易・投資分野に対する我が国の協力、具体的には研修員受入と専門家派遣事業を一つのプログラムに基づいて実施されたものとして評価し、この評価を通して、2003年9月末に開催予定の第3回アフリカ開発会議(TICADIII)に向けて有意義な教訓・提言を得ることを目的とする。
5.評価結果:
1) 貿易・投資分野協力プログラムの評価を、目的・プロセス・結果の3つの側面から評価した。その結果
2) 目的に関しては、我が国の援助政策(ODA大綱、中期政策、地域別国別援助計画/方針)並びにTICADIIで採択された「東京行動計画」に照らして妥当性の高い協力であったことが検証された。
3) プロセスに関しては、研修員受入の場合、割当国の選定、研修員選考、研修実施を通して適切に実施されたことが確認され、研修員や研修員所属機関から高い評価が寄せられた。但し、帰国研修員からはフォローアップ実施を強く希望していることが確認された。また、専門家派遣のプロセスでは、受益国の要請、候補者の選考、派遣前研修、業務実施、総合報告(書)の一連のプロセスの検証の結果、適切に実施されたことが認められた。継続的に専門家を派遣するにあたり、前任者の業務実施プロセスは、関係方面で有効に活用されていることもあわせて確認された。
4) 結果に関しては、研修員受入や専門家派遣を通して、受益国の人材育成の有効性や技術移転のインパクトに密接に関連していることが検証され、政府部門から民間部門への波及効果も進展しつつあることが確認された。
6.教訓と提言:
1) TICADと我が国の貿易・投資分野協力の関係性の明確化
 我が国の貿易・投資分野協力プログラムが、TICADプロセスの持続的な実施に向けて、TICADとの関係性のなかで進められていることをアフリカ諸国が十分認識できるような取組みが求められる。
2) 帰国研修員へのフォローアップの強化
 帰国研修員からフォローアップ事業強化の要望が出されたことから、なんらかの方策を検討する必要があろう。帰国研修員及び研修員所属機関から、我が国による研修事業に関し高い評価が寄せられていることから、フォローアップの強化により、人材育成の効果並びにインパクトの波及効果を期待できる。
3) 技術移転のインパクトを高めるための「政府・民間連携」への支援
 研修員受入と専門家派遣を通じた技術移転の有効性やインパクトをより一層高めるためには、政府・民間の貿易・投資分野の連携、協力関係の構築が重要である。こうした観点から、アフリカにおける政府・民間の関係強化を視野に入れた支援が重要であろう。
4) アジア・アフリカ協力への支援
 アジアの事例としてインドネシアへの我が国の協力を検証した結果、ODA中期政策に示されている「広域的な開発への取組み:南南協力」に関し、アジアの開発の経験がアフリカ諸国にとって大いに参考となることが検証された。今後より一層の支援の検討が大切である。


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