1. 評価対象プロジェクト名:技術協力開発計画 |
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2.国 名 :ザンビア 実施機関名:ザンビア大蔵・国家計画省 |
3. 援助形態:
専門家派遣事業、2000-2001年度、長期専門家派遣1名
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4.評価実施機関名:在ザンビア日本国大使館 |
5.現地調査実施期間: 2002年4月26日 |
6.プロジェクトの分野:計画行政 |
7.政策目的又は政策の方向性:
「自立発展に向けた人材育成・制度構築(行政能力向上と制度構築)」(2000年4月に派遣された対ザンビア経済協力総合調査団とザンビア政府との間で合意された、わが国の対ザンビア経済協力における重点分野の1つ) |
8.プロジェクトの目的:
受け入れ機関であるザンビア大蔵・国家計画省の対外援助受入局二国間援助課に対し、日本のODAの円滑な実施とフォローアップ。先方受け入れ機関に対し日本の援助案件の発掘・形成に関する助言や指導を行う。 |
9.評価結果:
本件専門家の活動は、結果として大蔵・国家計画省派遣先部署の行政能力向上と日本担当者のわが国ODA事業の理解の増進、及び過去の経済協力案件のフォローアップに大きく寄与したと考えられる。
本件専門家により実施された具体的な活動事例としては、(1)コンピューター研修の実施、わが国ODAに関する情報のデータベース化等を通じた事務処理能力の改善、(2)わが国ODAに対する体系的・統一的な要望を行うためのザンビア関係省庁に対する統一的要望書の提出依頼・要望取りまとめの実施と、提出された要望に対する大使館及びJICA側も参加した案件審査会の実施、(3)ザンビア関係省庁の担当者を招いた日本のODA政策や援助手法に関するセミナーの開催、等が挙げられ、これらの活動はいずれも専門家の赴任前には先方部局内で組織的・体系的に実施できなかったものであった。このような活動が実現可能となったのは、わが国専門家がザンビア側の日本担当官と同室に机を構え、常に先方とわが方との対話の媒介役を務めつつ、わが国ODAについての情報発信とザンビア側の援助調整管理に関する情報収集を緊密に実施したからに他ならない。こうしたアドバイザー型専門家の派遣は、対ザンビア援助重点項目の一つである行政能力向上と制度構築に役立つだけでなく、先方政府担当者がわが国ODAをより良く理解し、その有効活用を効率的に導くための効果的な手法であると評価できる。
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10.提言:
本専門家の業務はJICAの技術協力の一形態をなすものであるため、厳密に言えばわが国ODA事業全般に対する助言・指導を行う業務内容にはなっていない。しかし、実際には本来外務省(大使館)が取り扱う見返り資金(2KRおよびノンプロジェクト無償援助)の口座管理、使用促進、ノンプロジェクト無償援助及び債務救済無償の実施促進に対する先方政府への指導・助言も積極的に行っている。今後、こうした行政アドバイザー型専門家の業務内容を検討する場合、単にJICA派遣ゆえに技術協力に係る分野に活動が制約されるといったことではなく、わが国ODA事業全般に対する指導・助言が行えるよう配慮がなされるべきである。そうすることにより、先方政府に対しわが国ODA事業全般に対する理解と有効活用方策をより効率的かつ柔軟に伝えることが可能になると考える。また、本専門家の任期は1年4ヶ月であり、後任の切れ目ない派遣はなされなかった。本件業務のような人材育成・組織強化を目指す支援形態は、その持続発展性を確実なものとするためには必然的に長期間を要するものであることを考慮し、専門家の任期や後任の派遣のタイミング等に十分配慮すべきである。
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11.外務省(本省)からの一言:
JICA派遣だからという理由で技術協力に関わる分野に活動を制約しているわけではありません。制度改善のためには先方受入機関の意識改革が必要です。組織強化を目指す専門家派遣を行うとしても役務提供型の協力は極力避けるべきと考えます。 |