1.評価対象プロジェクト:ルサカ地区救急システム整備計画1 |
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国 名: |
ザンビア |
実施機関名: |
SCDP(Sustainable Community Development Programme) |
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3.援助形態:草の根無償資金協力 1998年度 6,987,960円 |
4.評価実施機関名:在ザンビア日本国大使館 |
5.現地調査実施期間: 2002年4月25日 |
6.プログラムの分野:保健・医療 |
7.政策目的又は政策の方向性:
「費用効果の高い保健医療サービスの充実(保健医療サービスへのアクセスの拡大)」
(2000年4月に派遣された対ザンビア経済協力総合調査団とザンビア政府との間で合意された、わが国の対ザンビア経済協力における重点分野の1つ)
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8.プロジェクトの目的:
地域の救急医療システムを担う行政機関(ルサカ郡保健委員会)と連携し、救急業務指令室の設置や救急車の整備等への支援を通じ、機動的かつ体系的な救急業務を確立することにより、市民の救急医療サービスへのアクセスの向上を図る。 |
9.評価結果:
ザンビアでは、市民の保健医療サービスへのアクセス拡大は極めて重要な課題であり、その対応策の1つとして適切なレファラル体制(適切な患者搬送システム整備)を確立することが挙げられる。
本件支援の結果として、(1)大学教育病院へ緊急に搬送される必要のある患者が救急車が到着するまでに待機した時間(週平均)は、本件支援実施前が243分であったのに対し実施後は41分と大幅に短縮された。また、(2)24の診療所から入電する救急車要請に対し、司令室に待機する看護婦が各要請をスクリーニングして優先順位をつけた救急隊の出動命令を行うことが可能となり、無線上での救急車の取り合い等の混雑が解消された。これらは、救急システム整備の観点から保健医療サービスへのアクセス拡大を図ったものであり、右システムの機能向上はザンビアの保健医療体制整備の観点から大いに評価できるものである。
これらの成果が達成できた要因としては、SCDPが、機材供与といったハード面の支援とあわせ、本システムの持続性・自立発展性を念頭に置いたソフト面での様々な支援活動(無線システム操作教育、救急車輌の安全運転講習の実施など)を展開したことが挙げられる。協力終了後の活動は運営主体たるべきルサカ郡保健委員会によるところが大きいが、SCDPによる協力活動を通じ、現在では独自資金による中古車輌の救急車への改造・導入の実施を図るなど自立的発展に向けたルサカ郡保健委員会の自助努力の姿勢がうかがえる。
なお、ルサカ市では本件草の根無償の実施と重なる時期に、JICAプロジェクト方式技術協力「ルサカ市プライマリーヘスルケアプロジェクト」が実施され(2002年3月終了)、SCDPは草の根無償の実施を通じ右プロジェクトの目的に同調した活動を展開している。
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10. 提言:
原則的に草の根無償のスキームでは供与資金の使用期限は契約署名日より1年間と限定されており、支援終了後の計画の進展は活動主体となる先方機関の自立的発展に委ねられることが多い。計画の自立発展性をより確実なものにするためには、ある程度長期間かつ持続的な支援活動が必要となることを考慮し、案件内容によっては、再度草の根無償資金援助の供与(フェーズ IIと呼べるもの)や青年海外協力隊を派遣するなど、一度供与した草の根無償に対する柔軟かつ積極的なフォローも検討する必要があろう。
今後の「顔の見える」国民参加型ODAの推進を図るためには、わが国NGOのODAへの積極的な関与を推進することが重要であるが、ODA案件の形成段階(各調査の実施段階等)から現地に存するわが国NGOの活動状況を事前に把握し、その連携・協調可能性につき検討する等の手順をあらかじめ案件形成サイクルの中に組み込むことも重要と考える。
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