4. 評価調査において参考としたプロジェクト
上記方法の設定に基づき選定されたプロジェクトは、次の通り全18件(カバー率12%)である。(表1-4.1参照)
原則として、1995年度から1999年度の間に協力が終了した外務省、JICA、JBICの日本のODAによる案件とプログラムを当時の「国別援助方針」で示された重点分野に分け、援助政策の評価の参考とした(別添6参照)。国内・現地で調査対象とする案件の選択には、以下の基準を設けた。
セクター | 全案件数 | 調査対象案件数 (内プログラム数)8 |
援助形態 | 全案件数 | 調査対象案件数 |
---|---|---|---|---|---|
経済基盤の整備・改善 | 36 | 5(3) | 有償資金協力 | 29 | 7 |
鉱工業開発 | 16 | 2 | 無償資金協力 | 29 | 7 |
農林水産業開発 | 27 | 4(1) | 草の根無償 | 10 | 0 |
人的資源開発 | 35 | 3(1) | 開発調査 | 24 | 0 (ただし、プログラム関連案件は考慮する。) |
保健・医療体制の改善 | 26 | 3(1) | プロジェクト方式技術協力 | 9 | 4 |
居住環境の整備・改善およびその他 | 11 | 1 | 個別派遣専門家 | 14 | 0 |
青年海外協力隊 | 30 | 0 | |||
一般技術研修 | 6 | 0 | |||
計 | 151 | 18 (6) | 151 | 18 |
セクター | 実施年 | 名前 | 実施 組織 |
スキーム | 理論 | 過程 | 成果 | 案件概要 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
経済基盤の整備・改善 | 1993年~ 1998年 |
コロンボ港拡張事業(III)、(IV) | JBIC | 有償資金協力 | ○ | ○ | ○ | コロンボ港におけるコンテナ取り扱い能力の増強を目的とする。新規バースの建設、機器調達、既存バースへの機器調達、主航路浚渫、オイルパイプライン建設、港湾管理運営システムの改良、マネジメント・コンサルティングを行う。 |
1993年~ 1998年 |
送電網拡充事業II | JBIC | 有償資金協力 | ○ | ○ | ○ | スリランカの送電能力向上、送電効率の改善のため、132kV送電線の新設、変電所の新設、既設変電所の増設を行う。併せてCEB専用の通信システムを整備し系統運用の合理化および能力の向上を図る(フェーズI、II共通)。フェーズIIの事業内容は、フェーズIの資金で賄うことができなかった変電所と引出口の建設などである。 | |
1995年 | マハヴェリ道路橋架建設計画 | 外務省/JICA | 無償資金(一般無償) | ○ | ○ | ○ | マハヴェリ川に橋梁(約224m)を建設し、取り付け道路(約5km)を改修することにより、対象地域住民の生活レベルの向上、経済の活性化、地域全体の運輸交通体系の改善を図る。 | |
1996年 | ケラニティッサ・コンバインド・サイクル発電所建設計画 | JBIC | 有償資金協力 | ○ | ○ | 150MW級のナフサ焚きコンバインドサイクル(C/C)発電所をコロンボ郊外のケラニティッサ火力発電所敷地内に新設し、国内の安定したベースロード電源の確保を図る。 | ||
1996年~ 1998年 |
マハヴェリ道路橋梁建設計画 | 外務省/JICA | 無償資金(一般無償) | ○ | ○ | ○ | 上記「マハヴェリ道路橋架建設計画(1995年)」参照 | |
鉱工業開発 | 1995年 12月~2000年 11月 |
鋳造技術向上計画 | JICA | 技術協力(プロジェクト方式技術協力) | ○ | ○ | ○ | (1)工業開発委員会(IDB)の施設(本部と鋳造施設のあるカツベッダ)に機材等設備を設置、(2)スリランカ側のカウンターパートへの鋳造技術の移転、(3)産業界への技術移転を目的とした研修コース・セミナー開催、により、IDBが産業界に適正な技術を提供できるようになることを目標とする。 |
1997年 | 小企業育成計画 | JBIC | 有償資金協力 | ○ | ○ | 小企業の育成を目的に、事業を実施するために必要な資金を低利で融資する。技術面、財務管理面のトレーニングやコンサルタントの雇用、品質管理のための設備を調達するための費用を無利子で融資することにより、スリランカにおける小企業の育成を図る。 | ||
農林水産業開発 | 1988年~ 1998年 |
ミニペ・ナガディーパ灌漑施設修復事業 | JBIC | 有償資金協力 | ○ | ○ | ○ | 灌漑施設の修復を行い、水路からの漏水を防止する。また、スリランカ政府が同時に実施している大規模潅漑総合管理計画(INMAS)による上下流の水利用の適正化、作付け作物の多様化などの政策を補完する。それによって、ミニペとナガディーパ地区の農業生産性の向上とともに農業生産基盤を安定させ、周辺地区と当地区の農業生産性の格差の是正を図る。 |
1993年~ 1994年 |
第二次ガンパハ農村総合開発計画 | 外務省/JICA | 無償資金(一般無償) | ○ | ○ | ○ | 橋梁の架け替え、農道管理用機材の導入により、南西部のガンパハ地域の農産物輸送の強化、流通と農村生活基盤の改善を図る。 | |
1994年 7月 ~1999年 6月 |
ガンパハ農業普及改善 | JICA | 技術協力(プロジェクト方式技術協力) | ○ | ○ | ○ | ココナッツ畑における間作作物の生産技術・農業普及方法の改善、研修教材の開発、研修の実施により、ガンパハ県のココナッツ畑における有効な農地の利用と作物の多様化を図る。 | |
1997年 | マハヴェリ河C地域改善計画 | JBIC | 有償資金協力 | ○ | ○ | (1)対象地の農民組織(FO)の自立化(末端灌漑施設の移管・水利費徴収・マーケティング・クレジットなどにおけるメンバー支援)、(2)C地区における米の増産と質の向上、(3)受益者(20,653世帯)の所得増加、(4)農業訓練施設の整備、を目的とする。事業内容には、水管理、農業支援活動等におけるFOの強化、農業経営訓練施設の建設、潅漑水路施設の改修、が含まれる。 | ||
人的資源開発 | 1996年 | ペラデニア大学農学部教育機材整備計画 | 外務省/JICA | 無償資金(一般無償) | ○ | ○ | ○ | ペラデニア大学農学部における8学科を対象とした学部レベルの教育機材の整備を通じて、教育の質の向上、現在の学生数への対応、試験・研究活動の改善・強化、農業開発への寄与の強化を図る。 |
1997年 | ペラデニア大学工学部教育機材整備計画 | 外務省/JICA | 無償資金(一般無償) | ○ | ○ | ○ | ペラデニア大学工学部における、既存老朽化・陳腐化機材の更新によって、教育内容をスリランカの産業界のニーズに答え得るものとする。同大学の教育環境を整備し、学習効果を向上させ、長期的に良質の工学系技術者を安定的に供給することを目的とする。 | |
1998年~ 1999年 |
初等・中等学校施設改善計画 | JICA | 無償資金(一般無償) | ○ | ○ | ○ | サバラガムワ州のラトナプラ県とケゴール県、西部州のガンパハ県における初等・中等学校に対して教育環境の改善を主要課題とした教室と付帯施設の建設、機材整備を行う。それによって、スリランカの教育改革の実施を支援し、初等・中等教育の質的改善に貢献することを図る。 | |
保健・医療体制の改善 | 1995年~ 1997年 |
ペラデニア大学歯学部改善計画、(詳細設計) | 外務省/JICA | 無償資金(一般無償) | ○ | ○ | ○ | スリランカ唯一の歯科医師養成機関であるペラデニア大学歯学部における施設の建設と医療教育機材を導入する。それにより、歯学部訓練スタッフを養成するための環境が整備されることを目的とする。 |
1996年 10月 ~2001年 9月 |
スリランカ看護教育プロジェクト | JICA | 技術協力(プロジェクト方式技術協力) | ○ | ○ | ○ | スリジャヤワルダナプラ総合病院に隣接した看護学校を基礎教育の向上を目指したモデルケースとして位置づけ、他に10校ある国立看護学校における教育の質の向上・高度化を目的とする。 | |
1998年 2月 ~2003年 1月 |
ペラデニア大学歯学部教育プロジェクト | JICA | 技術協力(プロジェクト方式技術協力) | ○ | ○ | ○ | ペラデニア大学歯学部において、(1)歯学教育にかかる教育・訓練法の指導(7講座、17部門)、(2)技術スタッフと看護スタッフの技術向上のための訓練、(3)事務部門の事務管理能力の訓練、(4)歯科医師、その他の歯科医療従事者の卒業後教育を行う。それによって、教育システムを向上させ、質・量ともに十分な歯科医療従事者が養成されるとともに、歯科口腔衛生のサービス向上を図る。 | |
居住環境の整備改善およびその他の案件 | 1992年~ 1998年 |
大コロンボ圏水辺環境改善計画 | JBIC | 有償資金協力 | ○ | ○ | ○ | 大コロンボ圏において、河川システムを整備する(河川改修、遊水地整備等)ことで毎年発生している洪水を制御するとともに、シャンティ住民の移転と移住地整備により生活環境を向上させ、水辺環境の改善を図る。 |
7 ペラデニア大学歯学部への協力は「人的資源開発」と「保健・医療体制の改善」の両方の分野に属していると考えられる
8 ペラデニア大学の機材整備・プロジェクト方式技術協力案件は、一つのプログラムとみなした。