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ソロモン諸島
消防機材整備計画

(2000年3月、在ソロモン大使館)

<プロジェクト概要>

援助形態 機材供与
協力年度 94年度、59百万円
相手国実施機関 ソロモン諸島警察、消防部
協力の内容 首都ホニアラ市の都市火災、周辺地域の火災に対処することにより、住民及び旅行者の生命、財産の安全を確保すると共に、火災等災害復旧に投入する資金を工業、商業地域の開発・発展に投入することにより、社会・経済開発の促進を目指し、消防車2台並びに消防事務処理用のコンピュータ2台を供与する。

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<評価要旨>

1.効率性

 都市化及び人口の集中が著しい首都ホニアラにおいて、ホニアラ周辺の火災に対応するための機材投入のタイミング及び投入量は適切であったと思われる。当国ヘンダーソン国際空港の防災についても、供与された消防車が大きな役割を果たしてきた。また、本プロジェクトと併せる形で95年より毎年1名から3名の消防員が日本で研修を受け、現在も同消防部にて消防体制の強化に寄与していることは、本件機材の有効活用に大きな役割を果たしている。

2.目標達成度

 消防活動は供与前の93年が18件にすぎなかったところ、94年には71件、その後97年には83件、98年には104件と件数が増大したほか、96年より、人員及び予算上の制約があるものの会社及び学校、近年は他の州における防災教育も開始された。

3.インパクト

 観光開発、投資促進並びに商業活動が促進されるとの指摘があるが、消防活動以外の要素も関係するところである。

4.計画の妥当性

 本プロジェクトをきっかけに消防活動が本格的に開始されたところ、ホニアラ市内に滞在する人々の生命及び財産の安全が確保されるという基本的かつ不可侵の権利の保障に貢献している。また、国民の消防部への連絡数も増加している。

5.自立発展性

 同消防署はソロモン諸島警察の組織の一部として位置づけられているため、予算の確保について問題はない。しかし当国の非常事態宣言(1999年6月)による人員の警察組織への異動のために人員不足は否めない。人員補充は国家財政上困難な状況にある。また、他州における防災教育の必要性も認識されているものの、運営費が確保できる見通しはなく、活動の拡大を阻む一要因となっている。

6.環境及びジェンダーヘの配慮・影響

 当国における火災の60%が林野火災であり、同消防部の活動によって林野火災が早期に消火されることは環境保全の観点から重要なことである。

7.今後必要なフォローアップ

 消防法の整備、消火栓設置基準の整備と消火栓の増設の他、ホース、泡消火剤に代表されるスペアパーツの補充が必要である。また、防火衣や防火手袋といった消防隊員個人の装備品、高いビルにも対応できる梯子や空気呼吸器、交通事故などの緊急の際に車両を切って中にいる人を助けるためのレスキュー・ツールも必要である。

8.将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされる事項

 消火活動開始のきっかけとなった本プロジェクトは、当国における防災体制の確立及び強化に寄与したと思われる。しかし同時に、当国の道路事情や消火活動を取り巻く環境が必ずしても十分に整備されているとはいえず、防災体制を支える法や道路などの社会基盤の整備が進められることが望まれる。

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