1. 評価対象プロジェクト名: バグダサール救急病院に対する医療機材供与計画 |
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3.援助形態: 草の根無償資金協力 2000年度 56,668ドル |
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4.評価実施機関名:在ルーマニア日本国大使館 | |||||
5.現地調査実施期間:2002年4月18日 | |||||
6.プロジェクトの分野:保健・医療 | |||||
7.政策目的又は政策の方向性:市場経済化移行支援 | |||||
8.プロジェクトの目的: ブカレストの救急病院の一つである「バグダサール救急病院」に対し神経形成外科用の手術用顕微鏡を供与することにより、市場経済移行期にあって財政困難なルーマニア政府にとって最も喫緊の課題の一つである医療水準の向上を支援すること。 |
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9.評価結果: 本件病院は機材供与以前から当国における神経形成外科の指導的役割を担っていたにもかかわらず、機材は30年以上も前に導入されたポーランド製のみという状況であり、機材の度重なる故障のために能率も悪く、緊急を要する患者が待たされる等の支障が出ていた。本件機材導入により、本件病院の誇る技術が最大限に活かされる治療が施されることになり、当国に多い労災事故、交通事故といった緊急を要する手術にも迅速に対応できるようになった。 また、本件機材により複雑な手術が可能になり、2001年には本件病院の神経形成外科で実施された937件の手術のうち728件が供与機材である「末梢神経再建手術用顕微鏡」を利用している。市民に直接裨益する「草の根」レベルのプロジェクトとして高い効果を収めたといえる。 |
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10.提言: 市場経済移行期の厳しい財政状況の中、当国における医療・保健分野は未だに遅れている部門の一つであり、EU加盟を至上命題とするルーマニアにとって医療機関の整備を含むこの分野の向上は大きな懸案であるといえる。 本件のような首都の病院でさえ一定の基準を満たす最低限の機材が無い状況であるので、今後とも最低限の機材を迅速に供給できる草の根無償資金協力による医療機材供与を検討して行くべきであると思われる。また、青年海外協力隊派遣等、技術協力と組み合わせたフォローアップの可能性も検討する必要がある。 |
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11.外務省(本省)からの一言: 本計画は、医療機材の供与による、ブカレスト市及びその近郊の医療水準が改善されることを目的として実施されたものです。市場経済化移行期の厳しい経済状況にある(1人当たりのGDPは2,120ドル(2002年))ルーマニアでは、逼迫した財政状況のため医療・保健分野のニーズに対し施策が追いついていません。本計画の対象サイトであるバグダサール救急病院には、本邦慈恵医大で末梢神経再建を専門に研究した文科省の国費留学生も常勤しており、草の根無償資金協力とわが国の国費留学生が連携し合う効果的な案件となっています。 なお、ルーマニアにとって西側製の医療器材は非常に高価であるが、ルーマニアはDACの無償基準からははずれているため、今後も草の根のスキームを通じた医療器財の供与は有効と考えます。 |