広報・資料 報告書・資料

ペルー
給水車整備計画

(2000年3月、首相府国際技術協力局担当)

<プロジェクト概要>

援助形態 無償資金協力
協力年度 92年度、5.47億円、93年度、2.38億円
相手国実施機関 大統領府
協力の内容 必要機材を装備した給水車により、公共水道システムへのアクセスを有しない都市周辺部に、衛生的な飲料水を供給する。


<評価要旨>

1.効率性及び目標達成度

 公共水道システムへのアクセスを有しない都市周辺部において、112台の給水車を活用しているが、今回評価を行えた61台についてのみ見ても、1日約2408.5M3の飲料水を供給し(1999年3月31日の累計では52,364M3)、計画給水対象人口の99.8%に当たる516,523人に便益を供給できており、供与された給水車を効率的に有効活用することにより、計画された目標は充分に達成されている。
 なお、大統領府インフラ次官からの報告によれば、国内22県70地域における112の水供給実施機関を通じて、当プロジェクトの裨益人口は468,938人であり、間接裨益人口は100万人に及んでいる。

2.インパクト(波及効果)

 飲料水M3当たりの平均価格は3.02ソル/M3であるが、これは飲料水供給サービスの不足している受給組織の人々に当プロジェクトが提供している社会サービスとしての料金である。この3.02ソルには、車輌の運用・維持管理の経費や保険代、飲料水購入・生産代等が含まれているが、当プロジェクトによる給水便益を受けられない人々は、民間の給水・販売業者から平均12ソル/M3で水を購入せざるを得ないところ、当プロジェクトの与える社会的インパクトは非常に大きいものである。

3.計画の妥当性(プロジェクト選定・形成の適性度)

 給水車による配布により、上記の飲料水不足地域の要望が充足され、また、幾つかの都市では、コレラの沈静化に役立ち、さらには、1998年のエル・ニーニョ災害の被害者救済にも機材が活用されており、適正な妥当性を有した計画であったと判断される。
 当プロジェクトは、政府の実施する最貧困地区への基本サービス提供政策との一貫性も有しており、例えばアレキパでは、複数の関係機関が共同で実施している「より多くのペルー国民への給水プログラム」に供与機材が活用されており、トルヒーリョ、ピウラ、イカ、アヤクチョ、イロ等では、米州開発銀行(IDB)、ドイツ(KfW、GTZ)、カナダ、スペイン・バスク政府等の国際協力機関との連携も図られている。

4.自立発展性

 現在、給水車の96%が良好な状態で活用されており、当プロジェクトの運用状況は良く、また、殆どが飲料用の処理水を使用しており、水質についても保証されている。
 ただし、心配すべき点としては、将来的に、補修・修理の維持管理経費が嵩み車輌の状況悪化による機能停止や飲料水源の使用中止に結びつかないか留意が必要である。

5.環境への配慮・影響

 直接の環境への影響はないが、人々が直接消費する水の質を保証し、受益住民が汚染された水を使用しなくて良くなったという点において環境との関係はある。

6.ジェンダーへの配慮・影響

 水管理・受け取りの住民組織は、母親の会、水委員会、貧困地区隣人会等の女性組織が中心となっており、当プロジェクトはジェンダーへの大きな影響・関係を有している。
 水の適正な受領・管理方法を学んだ主婦は、家庭において子供たちに水の適正・合理的な使用を教えていくことになる。

7.将来ほかのプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項

 給水車の配布基準として、実施機関の供与機材運用・維持管理能力が高いことがあげられており、また、協定に基づく監督機関によるコントロール、政府の実施する政策との一貫性を有することが、当プロジェクトの運営を良好なものとしており、これらの運営・維持管理体制の確認システム構築は、他のプロジェクトを実施する場合の教訓となり得るものである。

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