1.評価対象プログラム名:
運河流域環境保全のための研究センター支援 |
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2. |
国 名: |
パナマ共和国 |
実施機関名: |
パナマ自然保護協会(ANCON |
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3.援助形態:
「運河流域における持続可能な開発のための国際環境研究センター計画」
1998年度 草の根無償資金協力 機材供与約20百万円
「運河流域の天然資源保護・調査・情報提供のためのコンピューターシステム計画」
1998年度 草の根無償資金協力 機材供与約10百万円 |
4.評価実施機関名: 在パナマ日本国大使館 |
5.現地調査実施期間: 2002年6月 |
6.プロジェクトの分野:環境 |
7.政策目的又は政策の方向性:
パナマでは国土の約73%が樹木生育に適している。しかしながら、長年の森林破壊により、現在森林面積は国土の約45%しか残っておらず、水源涵養機能の低下が懸念されている。こうした中で環境保全技術の啓蒙と普及を支援することにより、運河流域を含むパナマの環境保全に取り組む。
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8.プログラムの目的:
パナマでは、従来より焼畑等による農牧地の拡大、天然林の無秩序な伐採等により森林の減少・劣化が進んでおり、適切な森林保全・環境保護のための教育の必要性が叫ばれていた。また近年、エル・ニーニョ現象による降水量減少に伴い、パナマ運河通航船舶に対して大規模な喫水制限が行われ、国際貿易に少なからぬ影響を及ぼした。このまま森林破壊が進むと、運河流域における保水力が失われ、運河が慢性的な水量不足となる可能性もあり、再び世界経済に悪影響を及ぼす恐れがある。
本件は、環境保護団体であるパナマ自然保護協会(ANCON)の研究センターを電子機器が配置できるように改修し、調査・情報収集用のパーソナルコンピューター及びプリンターを配備することにより、ANCONが行っている環境分析を支援するとともに、地域社会の人々や環境保護に携わるローカルNGO、更には近隣諸国の人々に対して行っている天然資源保護に係る教育活動を支援することを目的とする。
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9.評価結果:
パナマでは、1998年7月に環境庁(ANAM)が設置されるまで環境保全施策に一義的な責任を持つ省庁は存在せず、パナマ自然保護協会(ANCON)が唯一組織的に環境分野のNGOとして活動を続けていた。草の根無償資金協力により、同協会の研究センターに電子機器が配置できるようになったが、そこに配備されたパーソナルコンピューター40台によって、これまで手作業で行っていたパナマ運河流域の森林の分布状況やマングローブの分布状況に関する情報収集、データ解析の効率が飛躍的に向上した。
パーソナルコンピューターについては、ANCONのスタッフに行きわたる台数を供与し、更には環境分析の際に必要となるカラープリンター等の周辺機器を同時に供与したため、供与後直ちに作業を開始することができた。ANCONや環境庁は、日本の援助に対して多大な感謝の意を表している。
改修工事とコンピューターの導入により、米国国際協力庁(USAID)と協力し、日米コモン・アジェンダとして進められている「危機に瀕する資源保護」のより詳細な分析も出来るようになった。
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10.提言:
当国の環境行政については、環境庁が設置されて間もないこともあり、環境基礎データの整備や行政的な指導がまだまだ不十分なところがある。今後も、パナマ自然保護協会(ANCON)等の優良環境NGOを支援することにより、パナマ国全体の環境保全に貢献することが望まれる。
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