広報・資料 報告書・資料

パキスタン・イスラム共和国
バロチスタン州農業開発支援

1. 評価対象プロジェクト名: バロチスタン州農業開発に係わる支援

(クリックすると画像が変わります)

2. 国  名: パキスタン・イスラム共和国
実施機関名: 連邦農業省及び州農業省
3. 援助形態:
(1) バロチスタン州農業開発用機材整備計画 一般プロジェクト無償1993年度 19.64億円
(2) 末端灌漑水管理計画 有償資金協力 1991年度 82.30億円
4. 評価実施機関名: 在パキスタン日本国大使館
5. 現地調査実施機関: 2002年4月10日~4月13日
6. プロジェクトの分野: 農業
7. 政策目的又は政策の方向性:
 パキスタン国バロチスタン州の「農業生産性向上」
8. プロジェクトの目的:
 バロチスタン州において、農業造成に必要な機材を導入するとともに、既存灌漑用水を有効活用し、同地域の農業生産性の向上を図る。
9. 評価結果:
 パキスタン農業は、GDPの25%、全就業人口の約半分を占めるとともに、年2.3%の人口増加に歯止めがかからないことから、農業生産性の向上、生産の増大、食料の安定供給の確保は急務である。また、バロチスタン州は、パキスタン全土の中でも整備が遅れているとともに、年間降水量が400ミリ以下と自然環境に恵まれず、地域農業の発展のためには、有効耕地及び灌漑用水の確保が重要課題である。
 不毛と言われた礫土扇状地が州面積の2割を占め、地域開発が遅れていた同州にとって、我が国援助は主産業である農業の基盤整備を進める上で、大きな効果をもたらし、地域発展の下支えの役割を果たしている。
 降水量の少ない同州の農業は、雨期の流出水や河川氾濫水とともに山間部から流出する養分に富むシルト土壌を堰き止め、10年近くかけて肥沃な耕地に転換していくという大変年月を要する農地開発であり、我が国が供与したブルドーザーは過酷な条件の下で充分な役割を果たし、農地面積の拡大に寄与している。
 他州では、インダス川に起点をもつ大規模灌漑システムによって農業生産が維持されているが、同州は雨水に加え地下水に依存した灌漑用水を利用していることから、限りある水資源を有効活用し、それをどう生産性の向上に結びつけるかという点で、我が国援助で実施した施設整備は各々小規模ながら、適正に活用され、農業生産量の増加に貢献している。
 同州の農業は1980年代以降、各種援助により一大果樹生産地域に大きく変化しており、厳しい自然環境(礫を多く含む頑固な土壌)や機材の不足等から農地造成は計画どおり進んでいないが、州としても援助のみに依存することなく、供与機材のメンテナンスを行うワークショップの設置やJICA研修を通じて修得した機械操作技術を移転していくため、我が国の事例を参考に研修センターを設立し、オペレーターを育成する指導者の養成にも取り組んでいる。
10. 提言:
 同州の農業生産は着実に伸びているが、近年の干ばつ被害で、地下水位の低下や塩害が発生しており、やみくもに農地を広げることはかえって生産性を阻害する。地域環境に適した持続可能な農業となるような政策や開発計画の見直しの他、節水技術やより高付加価値作物への移転、農業技術の普及、産地形成などの地域全体をみた上での包括的技術支援が必要。


このページのトップへ戻る
目次へ戻る