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オマーン・漁業訓練計画

1. 評価対象プロジェクト名:漁業訓練計画
2. 国  名: オマーン
実施機関名: JICA
3.援助形態:
 プロジェクト方式技術協力 1993~2000年度
 長期専門家派遣11名、短期専門家派遣13名、研修員受入18名、
 機材供与 2億6881.5万円
4.評価実施機関名: 在オマーン日本国大使館
5.現地調査実施期間: 2002年4月20~21日
6.プロジェクトの分野:水産
7.政策目的又は政策の方向性:
 石油依存型経済からの脱却、経済の多様化 (漁業の近代化による漁業振興及び主要産業化)
8.プロジェクトの目的:
 漁業技術、漁船機関及び水産加工の各分野のカウンターパートへ技術移転を行うことによって、漁民に対しこれら分野における技術指導を行える講師を育成する。また、1998年から開始されたフォローアップ計画においては、品質・衛生面で国際基準(HACCP)を満たす水産製品の輸出拡大を目指し、品質管理技術の向上が目的とされた。
9.評価結果:
1) 妥当性
 産油国とは言え比較的埋蔵量が小さな当国としては、脱石油型経済への転換が急がれる。その中で、1,700kmに渡る長い海岸線に豊富な海洋資源を有する当国が漁業に注目するのは当然であり、漁業の近代化、水産品の品質向上による輸出拡大に係る期待は大きい。こうした背景から考慮して、本プロジェクトの実施は妥当なものと考えられる。現実にも、当国関係者による熱心な参加が見られた。
2) 目標達成度
 本プロジェクトによって訓練を受けたカウンターパート等は講師として十分に自立を果たし、当国漁業関連者に対し漁業技術、漁船機関、水産加工に関する講義・訓練を活発に行っている。これまでに44名の農漁業省職員が2年間に及ぶ漁業技術・漁船機関訓練を終了している。品質管理の分野では年間約100名の農漁業省職員及び民間水産関係者が水産品の国際品質基準であるHACCPに関する講義を受講している。
3) 成果
 品質・衛生面での基準を満たさない事を理由に、1998年当国水産品はEUから輸入禁止措置を受け当国漁業輸出は大きな打撃を受けたが、その後、本プロジェクトにおいて品質管理訓練を行った結果、水産品の国際品質基準であるHACCP認定証を受けた業者数は24社にまで拡大している。認証を受けた会社であればEUに対し輸出が可能となるため、現在では24社が輸出を実施している。(なお、当該認証については、現在は、2002年度にわが国水産無償によって新設されたFishery Quality Control Centerが担当機関となっている。)
10.提言:
 本プログラムが十分な成功を遂げたことから、農漁業省で漁業技術、漁船機関分野に関して同様なことを他の地域で行うことを計画し実施しようとしている。しかし、他地域への普及に関する技術については、未だオマーン側に十分なノウハウがないことから、引き続き専門家を派遣し技術指導者の育成を行うことが望まれる。水産加工分野は企業化に結びつき大きな産業となることが期待されていることから、産業育成という観点からの協力も必要かと思われる。品質管理分野では水産物に対する新たな規制項目がEUを中心に増えつつあることから、最新の規制項目に関して定期的に指導を行うことが望まれる。
11.外務省(本省)からの一言:
 水資源管理分野の研修実施を検討しており、持続的な漁業の発展を支援していきます。


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