広報・資料 報告書・資料

ニカラグア・
経済構造改善努力支援無償援助

1.評価対象:経済構造改善努力支援無償援助

(クリックすると画像が変わります)

2. 国  名: ニカラグア
実施機関名: ENIMPORT
(ニカラグア財務省管轄ニカラグア輸入公社)
3.援助形態:ノン・プロジェクト無償援助
 1990、1992、1993、1994、1996、1998、1999、2000、2001年度 95億円
4.評価実施機関名: 在ニカラグア日本国大使館
5.現地調査実施期間: 2000年3月
6.援助の分野:その他
7.政策目的又は政策の方向性:
(1) IMFとの構造調整プログラム合意において重要かつ優先課題である外貨準備高の回復。
(2) 貧困削減戦略(PRSP)の4つの柱の1つである包括的経済成長と経済構造改善。
8.援助の目的:
(1) ニカラグアの産業に不可欠な基礎原材料を、国際入札を通して低価格で輸入する。
(2) 国内の外貨準備を取り崩さないで国内産業を振興するために、輸入する際のドル支払いを肩代わりしニカラグア国内企業が外貨ではなく、国内通貨でその輸入品を購入できるようにする。
(3) ニカラグア国内企業の支払いを回収した資金(見返り資金)を、ニカラグア政府が経済・社会開発のために使用する。
9.評価結果:
 本援助の成果として、60以上のニカラグア企業がわが国のノン・プロジェクト無償援助で購入された原材料を購入し、支払いの良い企業は、5~7回購入するなどニカラグアの産業の裾野拡大に貢献している。例えば、これまで最も輸入回数の多い原材料は、比較的安値の混合肥料である尿素(約31%)である(ニカラグアでは中小企業の能力及び需要量を考慮して他の中南米諸国とは違い、購入する原材料を少ない種類に絞っている)。6回ノン・プロジェクト無償援助を利用して尿素を購入しているRAMAC社によれば、ニカラグア市場に出回っている尿素(混合肥料)のうち、約25%がノン・プロジェクト無償援助によって入ってきたとのことである。これは農民及び一般市民の比較的安い肥料調達を可能にしており、その裨益効果は高い。また、プロジェクトの目的(1)も達成されたと評価できる。ちなみにこの肥料調達は、国連機関のひとつであるUNOPS(国連プロジェクトサービス機関)が調達代理機関として国際入札を行っているが、このシステムは、わが国が本件援助で透明なアンタイド援助を維持していくためにも有効であると思われる。
 ノン・プロジェクト無償援助実施機関であるENIMPORT(ニカラグア財務省管轄ニカラグア輸入公社)の回収努力と、ニカラグア裨益企業の支払い義務遂行によって積み立てられる「見返り資金」は、ニカラグア政府の収入となり、これまで40のプロジェクト(306,852,404コルドバ、約35億円)に使用されてきた。例えば、2001年9月にニカラグアで第3回対人地雷禁止条約(オタワ条約)締約国会議が開催され、その会議費用が見返り資金より拠出された。これに合わせ、内戦のあった80年代の負の遺産である対人地雷除去のため、運輸インフラ省が地雷除去車を2台見返り資金で購入した。また、地方の協力建設、児童の栄養改善等に資する案件を実施している。このように、見返り資金が経済・社会開発のために使用され、かつニカラグア財政を支援しており、プロジェクトの目的(3)も達成されていると評価できる。
 ニカラグアでは、ノン・プロジェクト無償援助に関する毎月1回の月例会合が、大使館とENIMPORT、対外経済協力庁、UNOPS/UNDPの間で持たれており、実施・運営・管理の透明性及び調整体制が構築され、実施状況が十分管理されている。
10.提言:
 ノン・プロジェクト無償援助がニカラグアの構造調整支援、産業の裾野拡大、経済・社会開発に非常に貢献しているため、重債務貧困国であるニカラグアに、今後も同国の政治・経済状況を勘案しつつノン・プロジェクト無償援助を検討していくべきである。
このページのトップへ戻る
目次へ戻る