1. 評価対象プロジェクト名:
第二次母子保健サービス改善計画(子供の福祉無償)
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国 名: |
ミャンマー |
実施機関名: |
在ヤンゴン・ユニセフ事務所 |
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3. 援助形態:一般プロジェクト無償 1999年度 5.97億円 |
4. 評価実施機関名:在ミャンマー日本国大使館 |
5. 現地調査実施期間:2002年3月19日~22日 |
6. プロジェクトの分野:保健・医療 |
7. 政策目的又は政策の方向性:
基礎的医療サービスの向上及び乳幼児死亡率の低下 |
8. プロジェクトの目的:
包括的母子保健健康改善計画、マラリア抑制計画、予防接種拡大による児童死亡率の低減、安全な分娩のための医薬品及び医療機材の供与、母から子へのHIV/AIDS感染防止による母子保健の改善、及び学齢前児童を対象とした教育/衛生環境改善
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9. 評価結果:
ミャンマーの保健医療状況は、191ヵ国中190番目と評価(2000年WHO報告書)される等極めて劣悪な状況にある。このような状況に対して、我が国は1998年度に母子保健サービス改善計画(子供の無償)を供与し、1999年度の第2次分(今回評価対象分)からは基礎医薬品の供与を当国の全国規模(342郡中340郡)に拡大した。また、事前のベースライン調査により全国19の郡を重点的な支援対象(Area Focused Township)とする等選択的なアプローチも採用した。本事業は、支援対象の拡大と一部地域の重点化により民衆への裨益効果の増大・向上を目指すバランスのとれたものであり、当国国民の福祉向上を草の根レベルから支援する時宜を得たプロジェクトであった。
<目標達成度・成果>
一般的に保健医療状況の著しい改善には時間を要すると考えられる。但し、今回評価を行った郡(南シャン州)の乳幼児死亡率及び5歳以下死亡率を見る限り、ばらつきはあるものの、概して改善が見られ、本プロジェクトによる一定の効果があったものと見られる(例「5歳以下死亡率」=ニャンシュエ郡:99年度の29人/1000出生数から2000年度には25.4人/1000出生数に減少、 カロー郡:99年度の49.2人/1000出生数から2000年度には35人/1000出生数。)本プロジェクトにより供与された医薬品及び機材は、UNICEFによる体系的なモニタリングが実施され、全て計画通りに配布されていた。また、各郡においては末端レベルの強いオーナーシップにより厳正に監理されており、これらの確実な分配・管理により基礎的医療サービスが支えられていることを確認した。なお、我が国支援による供与物資流にはすべてODAマークが貼られており、末端の現場職員までもが日本の支援であることを明確に認識していた。UNICEFを通じた支援とはいえ、他の二国間援助と同様もしくはそれ以上の我が国支援の目に見える効果を見ることが出来た。
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10. 提言(今後のフォロー・アップ、改善すべき点、政策的な観点からの提言):
基礎的医療サービスの向上のためには、交通事情の劣悪な遠隔地に住む患者がより多くかつ持続的に治療が受けられるような環境づくりを行なうことが不可欠であり、そのためには、以下のことが必要となると思料される。
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絶対的に不足している基礎医薬品/医療機材の継続的な供与と量的増加 |
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医療行為に対する住民の不安感を払拭するための保健医療教育 |
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住民の通院用あるいは医療財団の巡回用としての全天候型の交通手段(例えばトラクター)の確保 |
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持続的な地域活動を促進するためのコミュニティ・レベルでのオーナーシップ育成 |
また、現場の医療サービスが住民のボランティア活動なしでは円滑に提供できない現状を考えると、これらの住民の必要最低限の生活水準や教育レベルが確保される必要があり、保健医療の向上を教育や貧困等を含めた包括的なコミュニティ開発の一つとして取り組むことが必要である。
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10. 外務省(本省)からの一言:
国境地域を含む地方部への援助を実施しているため、特にきめ細かいモニタリング体制をしき、援助効果の発現に努力しています。
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