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ミャンマー シード・バンク計画

1. 評価対象プロジェクト名: シード・バンク計画

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2. 国  名: ミャンマー
実施機関名: 農業灌漑省農業公社(MAS)
3. 援助形態:
・無償資金協力 1987年度 16.13億円
・プロジェクト方式技術協力 1997~2002年度 1.49568億円
4. 評価実施機関名: 在ミャンマー日本国大使館
5. 現地調査実施期間: 2002年3月13日~15日
6. プロジェクトの分野: 農業
7. 政策目的又は政策の方向性:
 有用作物の遺伝資源の収集・特性評価・保存等。育種事業への有効活用。
8. プロジェクトの目的:
 ミャンマー連邦の貴重な植物遺伝資源(特に稲)が大幅に減少しその喪失が懸念されている。上位目標は、収集された植物遺伝資源の育種事業への活用による、ミャンマーにおける農業生産及び生産性向上である。
9. 評価結果:
<実施の妥当性>
 近年、在来種の栽培が大幅に減少し、これら貴重な植物遺伝資源の喪失が懸念されている中、ミャンマー国政府は、1986年に稲を中心とした有用作物の遺伝資源の収集・特性評価・保存等を行い、育種事業への有効活用を図ることを目的としたシード・バンク計画の実施について日本政府に無償資金協力並びに技術協力を要請した。社会経済が農業に大きく依存しているミャンマー国において、農業のために生物多様性を確保する植物遺伝資源の保全と利用は農業生産性を上げる根幹的事業である。従って、プロジェクト目標が達成されることによって遺伝資源の消失が防止され、育種素材の提供が可能となるため、本計画は妥当なものと考えられる。
<目標達成度・成果>
 プロジェクトの目標はシード・バンク内で、探索収集、分類評価、保存増殖、データ管理、遺伝資源と情報の交換に関する遺伝資源管理システムの確立である。
探索収集: 全体計画や年次計画に概ね基づいて行われ、稲、豆類、油量作物、野菜等を収集し、合計で1,300点余りが収集された。
分類評価: 国際稲研究所等の分類評価のディスクリプターを参考に、ミャンマー独自のディスクリプターが作成された。CARI及びエジン大学との協力で収集された8,700点の遺伝資源について分類が行われた。
保存増殖: 遺伝資源は圃場で増殖を行い、2001年末ベースコレクションが約7,200点、アクティブコレクションが約7,300点揃った。稲は全体の2/3を占めている。
データ管理: ソフトウェア「アクセス97」を用いて、パスポートデータ、特性評価データ、種子在庫データの遺伝子資源データベースが作成され、迅速な検索が行えるようになった。
遺伝資源と情報の交換: プロジェクト期間中にセミナーが16回、ワークショップが3回開かれ、職員との間で探索収集、分類評価、保存増殖、データ管理に関する情報が交換された。また数名の研究者が国際会議に出席し、シード・バンクにおける研究成果を発表するなど、研究の意欲を高めるものであった。
以上をまとめると、本プロジェクトの5つの目標は達成されたと思料される。
10. 提言:
<ミャンマー側の改善事項>
 シード・バンクプロジェクト関係者はミャンマー政府に対し、植物遺伝資源管理に関する政策を決定するための国家委員会の設立を呼びかけている。この委員会が設立されると、これまで以上に広い視点から決定された政策に基づいてシード・バンク事業の更なる発展が期待できる。
<我が国の支援に対する提言>
 本プロジェクトの成果を踏まえ、更に研究機関としての側面支援のための活動(遺伝資源の利用による育種素材化及び育種研究体制の強化)や身近な問題でもある耐病虫(白葉枯病等)の育種利用に対して、ミャンマー側の自立発展的な運営を阻害しない範囲でフォローアップ専門家(短期)の派遣や、本プロジェクトのフェーズ2というような形で実施していくことも必要と考える。
11. 外務省(本省)からの一言:
 本件は、無償資金協力と技術協力が連携し、効果的に実施できた優良な案件と言えます。


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