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モルディブ・マレ島護岸建設計画

1. 評価対象プログラム名:マレ島護岸建設計画(第3次まで)

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2. 国  名: モルディブ
実施機関名: モルディブ政府建設・公共事業省
3.援助形態:
一般プロジェクト無償資金協力: 1987~89年度: 20.51億円
(第1次)
技術協力(開発調査): 1991~92年度:  
一般プロジェクト無償資金協力: 1993~99年度: 39.54億円
(第2次、第3次)
4.評価実施機関名:在スリランカ日本国大使館
5.現地調査実施期間:2002年3月25~27日
6.プロジェクトの分野:環境・社会基盤
7.政策目的又は政策の方向性:
 モルディブは島嶼国であるところ、自然災害、地球温暖化による海面レベル上昇等の脅威から国土を守ること。
8.プログラムの目的:
 モルディブは、約1,190の珊瑚礁島、19の環礁から成る島嶼国であり、赤道を挟みインド洋上の南北820km、東西約130kmに広がる。首都のあるマレ島(約1.8平方km)は総人口約27万人の内4分の1が住む人口過密な島で、政治、社会、経済活動の中心となっている。珊瑚礁島特有の低地であり、1987年には豪州西部で発生した高波が伝播し、島の3分の1がかん水するなど甚大な被害(約6百万ドル)を受けたため、同国政府は同島全体の海岸防災施設建設のため日本政府の協力を求め、わが国無償資金協力により順次護岸施設の整備が進められた。2002年度には第4次建設計画(2000年度開始)により全島の周囲の護岸施設整備が終了したことにより、同島の異常高潮災害に対する防災対策と都市機能保全に多大な貢献が期待される。
9.評価結果:
 同国の既存の護岸施設は珊瑚塊を積み上げ、表層をモルタルで仕上げたもので、セメント不足やモルタルを混ぜる際に淡水を使用しないことによる強度不足のため、劣化、崩壊が指摘されていた。そのため建設・公共事業省は既存の護岸施設の修復を必要としていた。本件計画実施によりマレ島周囲約6kmに堅固な護岸構造物が建設され、脆弱な環境に置かれていた島内の生命、財産を高波、高潮被害から守る防災機能を十分果たしていくものと判断される。
 また、旧来の護岸構造物が貧弱なものであったことから生じる維持補修費用(建設・公共事業省によれば、93年には年間12万ドル、2001年度には北岸だけで年間10万ドル)の節約に繋がるものとして、財政面でも大きな効果をもたらすものと判断される。
 さらに、物理的な裨益効果に加え、将来起こり得る大規模な高波に耐えうる堅固な護岸構造物に守られているとの安心感による心理的効果は多大なものと判断される。
10.提言:
 本件構造物は半恒久的なものであり、原則的には補修は不要である。但し、モルディブ政府の施工により十分整備されている歩道、道路、ベンチ、街路樹を含め、今後も維持管理が十分行われるよう見守る必要があろう。
 本件構造物によって同国の心臓部であるマレ島を海水の浸水から守ることにより、同島民に自国の将来につき多大な安心感を与えた意義は高い。
11.外務省(本省)からの一言:
 高波と同様に地球温暖化による海面上昇は、モルディブ国民にとって大きな不安要因であり、右への対応策として実施した本件無償資金協力は、住民に安心感を与えたものとして意義が高いと考えます。


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