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ヨルダン・中東和平に対する貢献

1.評価対象プログラム名:中東和平に対する貢献

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2. 国  名: ヨルダン
実施機関名: 公共事業省
3.援助形態:
(1) シェイク・フセイン橋架け替え計画
一般プロジェクト無償/1996年度/7.71億円
(2) キング・フセイン橋架け替え計画
一般プロジェクト無償/1999年度/12.15億円
4.評価実施機関名:在ヨルダン日本国大使館
5.現地調査実施期間:2002年4月7日~5月30日
6.プロジェクトの分野: 運輸・交通
7.政策目的又は政策の方向性:
 中東和平プロセスへの貢献
 ヨルダンの「産業振興:観光及び中継貿易のためのインフラ整備」
8.プログラムの目的:
(1) 両橋梁の架け替えにより、ヨルダンとパレスチナ自治区(西岸・ガザ)、ヨルダンとイスラエルの社会的・経済的な交流の促進を図る。
(2) 洪水時の冠水による通行止めを解消する。
(3) 両橋梁の周辺地域での地域開発、輸出産業育成及び観光産業の振興を図る。
9. 評価結果:
(1) シェイク・フセイン橋の交通量は、新橋開通前の1998年には、91.8台/日、812人/日であったのに対し、開通後の2001年は146.0台/日(対98年比59%増)、1,098人/日(対98年比35%増)と拡大した。特に、イスラエル・ハイファ港に発着する物資の輸送路として、ヨルダン北部の工業団地に大きな恩恵をもたらしている。
(2) キング・フセイン橋の交通量は2000年9月以降のイスラエル・パレスチナ間の衝突のあおりを受け、ヨルダン、イスラエル、パレスチナ自治区間の人的・経済的交流が不活発となったことから、新橋開通前の1年間(2000.4-2001.3)には、177.9台/日、2,966人/日であったのに対し、開通後1年間(2001.4-2002.3)の交通量は140.8台/日(21%減)、2,114人/日(29.4%減)となっている。他方、キング・フセイン橋に関しては、パレスチナ向け支援物資を積載した車両が、評価実施時期にはほぼ毎日の頻度でヨルダン側からパレスチナ自治区に通行しており、経済目的での利用が減少している中でも、同橋は西岸に通じる唯一の経路として人道的な観点での利用がなされている。
(3) また、新橋梁の完成以降、大雨による冠水が原因となる両橋梁の閉鎖は解消されている。
(4) 2001年12月、ヨルダン政府は、これまでのわが国経済協力への謝意を表明するため、「ヨルダンと日本の協力」と題した2種類の記念切手(200フィルス及び300フィルス)を発行し、わが国の対ヨルダン支援の象徴として両橋梁が図案に採用された。ヨルダン国民の間でも、両橋梁はわが国の代表的な支援事業として広く認識されており、わが国が中東和平プロセスに積極的に関与する姿勢を印象づけている。
10. 提言:
(1) 両橋梁が効果を最大限発揮するためには地域の安定が何よりも不可欠であり、わが国としても引続き中東和平実現に向けた取り組みを行うことが重要である。
(2) ヨルダン川両岸の経済発展のためには円滑な渡橋手続きが不可欠であり、将来的には渡橋手続きの改善が求められる。
(3) 両橋梁周辺地域での観光振興、経済発展のために、産業道路等の関連する社会基盤整備、観光関連施設の整備及び輸出志向産業の振興を並行して進めることが重要である。
11.外務省(本省)からの一言:
 両橋架け替えの実現自体が、ヨルダン・イスラエル間の和平達成を始めとする和平プロセスの生んだ大きな成果であり、両橋が中長期に渡り地域の発展に資すると共に、人・物の交流を通じた和平の促進に寄与していくことを希望しています。


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