ジャマイカ
ブルーマウンテンコーヒー開発事業
(2000年3月、在ジャマイカ大使館)
<プロジェクト概要>
援助形態 |
有償資金協力 |
協力年度 |
83年度、59.41億円 |
相手国実施機関 |
農業省、コーヒー産業公社、都市開発公社、国家計画庁 |
協力の内容 |
ブルーマウンテンコーヒー山脈北側のブルーマウンテンコーヒー栽培に適している地域を中心として、3,500エーカーのブルーマウンテンコーヒー農園の開発及び雇用と外貨獲得に資する関連インフラ(道路、公共施設、住居)の建設。 |
<評価要旨>
1.効率性
ジャマイカに対する初のプロジェクト借款であったことから、実務的な経験が不足する中で機材購入などの契約が遅延する傾向があった。更に、ハリケーンの襲来などによる外部要因もあり、プロジェクトの実施期間は予定よりも長かったが、投入された資金の規模、機材及び人材は、成果を創出するために適当であった。
2.目標達成度
一部サブ・プロジェクトの需要が減少したことが判明し、右事業の実施を見合わせるなどの処置を講じた。また、ハリケーンの襲来、害虫の発生及び干ばつ等があったが、プロジェクトの目標を達成するための事業は当初考えられた予算の範囲で実施され、ほぼすべての成果を達成することができた。
3.インパクト
事業内容がほぼ達成された結果、ブルーマウンテンコーヒーの生産性は、1エーカー当たり84年の26box(注:1boxからコーヒー生豆が10~121bs採れる)から97年には45boxの約1.7倍に向上した。右に付随して、ジャマイカ経済への貢献、ブルーマウンテンコーヒー生産のための技術の普及が図られた。また、環境面に対しては追加的な対策が講じられた。女性に対する雇用創出も実現しており、プラスのインパクトが大きい。
4.計画の妥当性
ブルーマウンテンコーヒーという国際コーヒー市場で優位性のあるジャマイカに特有の農産物を対象とした本件は、重要性は現時点でも減じておらず、プロジェクトの対象として適切であった。プロジェクト・サイトなど一部制約された条件下での対応も大きな問題はなく、計画の論理性、施設、資機材・技術、及び環境・WIDについても総じて妥当であると考える。
5.自立発展性
本件プロジェクトの成果・便益は維持されている。ブルーマウンテンコーヒーの重要性に鑑み、ジャマイカ政府からの継続的な支援も得ており、今後とも自立発展するものと考える。一方で、主要実施団体であるコーヒー産業公社の組織改編もあり、今後の動向を注視する必要がある。
6.環境及びジェンダーヘの配慮・影響
ジャマイカ政府の環境関連法の成立による追加的な施設を建設して、環境問題の惹起を予防した。また、精製工場においては約80名の女性に対して雇用機会を提供しており、環境及びジェンダーに対して配慮する結果となっている。
7.今後必要なフォローアップ
新規に建設されたコーヒー精製工場の処理能力には、やや余裕がある。ブルーマウンテンコーヒーに加えて、現在ジャマイカ政府が生産量が減少する傾向にあるブルーマウンテンコーヒー農園以外の再生に力を入れ始めており、右の増産が実現できれば、精製工場はより一層活用される。組織改編を実施したコーヒー産業公社の動向にも注視する必要がある。
8.将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として生かされるべき事項
案件の対象が農産物のコーヒーであること及び対象地域の一部が山間部に位置していることから自然条件などに対するリスク管理が事前に検討された方が、ハリケーン、害虫及び干ばつ等に効果的に対応し、本件プロジェクトの円滑かつスピーディーな実施に資した可能性がある。