1.評価対象プロジェクト名:初等中等教師教育研究開発 |
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国 名: |
ホンジュラス |
実施機関名: |
教育省 |
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3.援助形態:
技術協力(研究協力)94~97年、専門家派遣(短期2名) |
4.評価実施機関名: 在ホンジュラス日本国大使館 |
5.現地調査実施期間:2002年10月10日 |
6.プロジェクトの分野: 人的資源 |
7.政策目的または政策の方向性:教育水準の向上 |
8.プロジェクトの目的:
初等・中等教員に対する科学・技術分野の研修を実施することにより、ホンジュラスの教育水準の向上に寄与すること。 |
9.評価結果:
歴代ホンジュラス政府は、ホンジュラスの社会経済発展の基礎として教育水準の向上を重点課題とし、現職教員に対する再教育を実施してきた。そして、右活動を更に組織的かつ体系的に実施するための施設が必要であることに鑑み、わが国にかかる施設の建設及び必要資機材の供与を要請してきた。
その結果、わが国の無償資金協力により1989年、国立教育実践研究所(INICE)が建設された。本件研究協力は同施設において行われたものであり、その実施は極めて有意義なものと言える。
本件研究協力は1994年6月から1997年5月までの3年間実施された。初年度は、運営委員会、各科研究グループの組織化、研修実施のための各種基礎調査、研修計画の作成及び短期専門家2名による「教員研修に関するセミナー」が実施された。2年度は、研修用教科書を作成し研修を実施した。また、視聴覚教材及びコンピューターの導入に伴うコンピューター研修計画を作成した。最終年度は、初等教員対象の研修活動の拡大を試み、フランシスコ・モラサン県の教員を対象に実施してきた本件研修を、チョルテカ、コマヤグア、エル・パライソ各県にも拡大し、講師を派遣する形で研修会を実施した。また、初等教員用研修教科書の改訂を随時実施したほか、前年度に作成した視聴覚教材を前述の出張研修会で利用した。その他、コンピューター研修会、初年度に派遣された2名の専門家出席のもと、セミナーを開催する等、ほぼ初期の目的は達成されたと言える。
他方、本件研究協力の実施に当たっては、4年毎の政権交替に伴う人員の交替を考慮し、諸活動の主体となる研究グループの構成を、教育省の人員を主体とすることなく、国立教育大学や国立自治大学の教職員も加える等の工夫を凝らし、実際にこれら機関からの強力な支援が得られた模様である。しかしながら、このような配慮にもかかわらず、本件協力が終了した後は、政権交替により教育省及びINICE で本件協力に関わった人材がすべて退職もしくは異動してしまい、事実上その後の研修活動に多大の困難が生じた。
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10.提言:
わが国としては本件協力の継続性が重要であるとの認識のもと、技術協力スキーム及びノンプロジェクト無償援助の見返り資金を有効に活用し、今後ともホンジュラスの教育水準向上に貢献していくことが肝要であると考える。
他方、ホンジュラス側は、今後INICEの再活性化を計るべく、(1)INICEが実施する教員の再研修のためのカリキュラムを作成し、教員資格を有さずに教員活動をしている者が同研修を受講した場合には、教員資格を付与できるような制度を確立する、(2)首都テグシガルパ市、サン・ペドロ・スーラ市及びラ・セイバ市の職業訓練庁(INFOP)とタイ・アップし、各種専門分野の研修コースをINICE内に設置する、(3)地方在住教員の研修参加を容易にするため、教育省、地方教育委員会等の関係機関の理解と協力を求めるといった努力を払うべきである。
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