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ホンジュラス・首都圏病院網整備計画

1.評価対象プロジェクト名: 首都圏病院網整備計画

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2. 国  名: ホンジュラス
実施機関名: 厚生省
3.援助形態:
 一般プロジェクト無償 1996年度 9.98億円
4.評価実施機関名: 在ホンジュラス日本国大使館
5.現地調査実施期間: 2002年7月11日
6.プロジェクトの分野:保健・医療
7.政策目的または政策の方向性:
 保健医療サービス改善・強化
8.プロジェクトの目的:
 サン・フェリペ病院の産科及び救急クリニックを整備することにより、首都圏において唯一救急部門・産科部門を有する教育病院(国立)の負担を減らすこと、また、リファレル体制(ホームドクターなどによる基礎保健・一時医療施設から、地方病院等の二次医療施設、大学病院等の三次医療施設までのピラミッド型の病院システム)を確立すること、及び首都圏の緊急医療・母子医療サービス及びアクセス性を向上させること。
 なお、1993年、ホンジュラス政府は、経済危機のあおりを直接受けている低所得者層に対する各種サービスの改善が急務であるとの認識のもと、その中の主要な柱ともいえる保健医療サービスネットワークの総合的な改善を目的とした計画を策定し、わが方に協力を要請した。これを受け、わが方は1995年1月から1996年8月にかけて「全国保健医療総合改善計画」に係る開発調査を実施した結果、ホンジュラス政府は本件改善計画を総合的、中・長期的な課題として位置付け、優先課題として保健医療サービス網の拡大と保健医療施設・機材の再活性化を掲げることとなった。
9.評価結果:
<目標達成度・効果>
 本件プロジェクトの実施により、1991年から1995年に年間平均19,452件の分娩実績を有していた教育病院における最近4年間の分娩数は、1998年17,721件、1999年16,811件、2000年15,778件、2001年14,174件と着実に減少してきている。
 他方、サン・フェリペ病院産科の分娩件数は、4年間で約4.6倍に増加している(1998年1,277件→2001年5,862件)。救急クリニックの診察実績においても、「アト・デ・エンメディオ」が3年間で1.2倍(1998年度14,783件→2000年度17,712件)、「エル・シティオ」の2001年度実績は20,251件、「ラス・クルシータス」は同年14,683件と、教育病院の負担軽減に大きく貢献している。
10.提言:
 ホンジュラス側が行うべきフォローアップとして以下の諸点が挙げられる。
<人的資源の質的向上>
 厚生省は、サン・フェリペ病院の産科及び3ヵ所の救急クリニックに対する職員の配備を行っており、量的には目標を達成した。今後より効果を上げるため医師・看護婦ほか従業員の能力・勤労意欲等の面での質的な向上を図ることが期待される。
<救急クリニックの自立>
 救急クリニックの予算は教育病院の管轄下にあり、同予算の配分はあくまで教育病院が優先されるため、救急クリニックは総じて医薬品・診療材料の不足が生じている。また、救急クリニックの診療報酬等の収入も教育病院の管理下にあり、救急クリニック独自の裁量で使用することができず、緊急時の対応に大きな支障を来している。少なくとも診療報酬等の収入は救急クリニックに優先的に使用させるなど、救急クリニックに予算上の独立性を与えることが必要である。
<適正な診療報酬体系の整備>
 サン・フェリペ病院産科の診療報酬は教育病院の3-5倍と高額であり、教育病院との診療報酬の格差是正が必要である。


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