1.評価対象プロジェクト名:神の時刻 歯科診療所建設計画 |
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2. |
国 名: |
ドミニカ共和国 |
実施機関名: |
神の時刻協会(NGO) |
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3.援助形態:
草の根無償資金協力 2001年度 5,977,755円 |
4.評価実施機関名:在ドミニカ共和国日本国大使館 |
5.現地調査実施期間:2002年4月12日 |
6.プロジェクトの分野: 保健・医療 |
7.政策目的又は政策の方向性:
わが国のドミニカ共和国への援助重点分野は、以前より「保健・医療」(99年4月の政策協議でも確認済み)。
JICAの国別事業実施計画においても、開発課題のうち「地方貧困層の健康改善」、「基礎教育及び職業・専門教育の改善(専門教育の一部として医学教育を位置付け)」として「保健・医療」が技術協力優先分野として位置付けられている。
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8.プロジェクトの目的:
ドミニカ共和国では、歯科治療費が概して高価であるため、貧困層住民は歯科治療を受ける機会が非常に少なく、大半は虫歯、歯周病等をかかえ生活しているのが現状である。首都サント・ドミンゴの西部ブエノス・アイレス・デ・エレーラ貧困地域に設置されている総合診療所には、年間約10,200人の歯科診療患者(大人約8,700人、子供約1,500人)が来院し、安価な受診料にて治療を受けているが、現在の老朽化した手狭な施設だけではそのキャパシティが不充分である。このため、地域貧困住民の健康増進を目的として、年間受診可能人数15,000人の、歯科診療を可能とする歯科専用診療所を新たに建設したものである。 |
9.評価結果:
<妥当性>
ドミニカ共和国においては、8.で触れている通り、歯科治療が高価で貧困層住民の大半が虫歯などを抱えたまま生活している。右貧困住民への安価な治療提供を可能とするこのプロジェクトは、貧困住民の歯科治療の充実から導かれる健康増進、という目的達成という観点から、その妥当性は高いと評価できる。また、7.に記述されているとおり、「保健・医療」を重要視しているわが国援助政策目的とも合致しており妥当である。
<目標達成度>
本件歯科診療所が設立されて約1年が経過したが、稼動状況は非常に良好である。2000年の実績によると、同施設に通院した患者数は約13,000人であり、当初予想した受入可能患者数とほぼ同数となっている。
<その他>
資金面での運営状況は、収入額約634,466ペソ(約37,000US$)に対し、支出額約579,138ペソ(約34,000US$)と、約55,328ペソ(約3,255US$)の黒字となっている。この黒字分は将来の維持管理費等に充てることとされており、同診療所はわが国の援助1年後において、既にその成果を着実にあげていると判断される。
また、本件の被供与団体「神の時刻協会」は、貧困住民に対して支援活動を行う国内でも有名な慈善事業活動団体である。本診療所の運営状況が良好であるのは、援助被供与国団体の信頼性が高かったことも要因の一つであったと考えられる。
わが国の「顔の見える援助」の観点からは、待合室に日本のポスターなどが貼られているなど、被供与団体の地域住民に対する啓発普及活動ぶりも確認され、地域住民もそれに感謝しているという雰囲気が現場からも感じ取られた。
医療分野に対する協力は、その効果を直接的に裨益することを感じさせる点においては、非常に目に見える効果が大きいと言える。
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10.提言:
本件歯科診療所は主として低所得者層向けにサービスを提供しているが、運営経費等の大部分は患者からの受診料から賄われており、まさにモデルとなり得る案件と言える。今後も、貧困住民を対象とした類似案件の申請がなされることが予想されるが、本件を優良案件の一例として、裨益効果が高く、かつ持続的な発展が期待できる案件の実施を今後とも行っていく必要がある。
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