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ドミニカ共和国・
消化器疾患センター建設計画


1.評価対象プロジェクト名:消化器疾患センター建設計画

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2. 国  名: ドミニカ共和国
実施機関名: 厚生省
3.援助形態:
 一般プロジェクト無償 1989~90年度 14.13億円
4.評価実施機関名:在ドミニカ共和国日本国大使館
5.現地調査実施期間:2002年4月18日
6.プロジェクトの分野: 保健・医療
7.政策目的又は政策の方向性:
 わが国のドミニカ共和国への援助重点分野は、以前より「保健・医療」(99年4月の政策協議でも確認済み)。
 JICAの国別事業実施計画においても、開発課題のうち「地方貧困層の健康改善」及び「基礎教育及び職業・専門教育の改善(専門教育の一部として医学教育を位置付け)」として「保健・医療」が技術協力優先分野として位置付けられている。
8.プロジェクトの目的:
 ドミニカ共和国においては、感染症急性下痢などの消化器疾患が極めて多いにも関わらず、消化器疾患を専門に扱う病院がなかったため、病因の解明及び治療法の確立が喫緊の課題となっていた。このような背景から、本件協力を実施した。
 期待される成果は、1)臨床診断技術のレベルアップ、2)消化器疾患の研究、3)医療従事者の養成、4)医学部学生の教育を行うための消化器疾患センターの設立、である。
9.評価結果:
<妥当性>
 本件協力は、消化器疾患の病因の解明及び治療法が確立できていなかったドミニカ共和国においては、8.のプロジェクト目的を達成する観点から、妥当性が高いと評価できる。また、7.に記述されているとおり、「保健・医療」を重要視しているわが国援助政策目的とも合致しており妥当である。
<目標達成度>
 消化器疾患センターが設立されたのち、プロジェクト方式技術協力「消化器疾患研究・臨床計画」が1990年1月より7年間実施されたことも相俟って、同センターの稼動状況は良好である。
 同センターは、5つの独立したセンターから構成されるアイバール複合国立病院の中の一機関として位置付けられるが、ドミニカ共和国国民がすべての5施設を日本が援助したと勘違いするほどであり、「顔の見える援助」の観点において、その援助効果は非常に高いと思われる。その背景には、毎日、多くの低所得住民が同センターに来院、入院しているという事実がある。2002年4月現在で、病床数24床であるが、月平均の入院患者数は約80人であり、また、月平均の来院患者数は約4,130人と非常に多く、その援助効果は事業実施11年目を迎える現段階においても非常に大きいと思われる(なお、本プロジェクト実施以前は、アイバール病院は、消化器疾患専門部門を有していなかったことから、プロジェクト以前の消化器疾患関連の患者数を数値で示すことは困難)。
10.提言:
 同センターは主として低所得者層向けの医療サービスを提供している機関であり、運営経費等の大部分は国に頼っている。従って、今後とも機材等に係るメンテナンス費用や耐用年数を超えた機材更新等のための費用を捻出していくためには、政府からの補助金のみに頼ることなく、運営管理方法の更なる改善と効率化を図るなど、センター自身の自助努力も必要である。なお、センターの運営方法については、新たな資金運営委員会が設置されるなどの自助努力が行われており、今後ともこの動向を見守っていく必要がある。




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