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コートジボワール
未就学者のための裁縫と識字教室建設計画


1.コートジボワール・未就学者のための裁縫と識字教室建設計画

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2. 国  名: コートジボワール
実施機関名: 人材育成と社会的地位向上センター
3.援助形態:
 草の根無償資金協力 1994年度 237 850仏フラン(4,281,300円)
4.評価実施機関名:
 在コートジボワール日本国大使館
5.現地調査実施期間:2002年3月18~19日
6.プロジェクトの分野:
 社会配慮(ジェンダー)、人的資源、社会基盤
7.政策目的または政策の方向性:
 識字率の向上と女性の自立。
8.プロジェクトの目的:
 本件計画は、ガレージを改造した建物である為、増加する受講希望者や雨天時に対応しきれないという問題を抱えている既存の教室を修理・拡張し、教師を増やすことにより、(イ)受講希望者の受け入れ人数増加に対応(年間受入目標100人)し、(ロ)生徒の学習進行度に適した多様なレベルの授業内容(6段階)を提供し、(ハ)長期にわたる授業継続(6年制)を可能とすることを目的としている。なお、本件実施機関である「人材育成と社会的地位向上センター」は、同じ敷地内にあるズクブ・サンミッシェル医療センターとともにカナダ系のカトリック団体により設立され、運営されている。本案件は、同センターへの青年海外協力隊(手工芸)派遣、同センターと同じ敷地内にある右医療センターへの2度にわたる草の根無償供与、並びに同医療センターへの青年海外協力隊(検査技師)派遣等、包括的事業の一環である。
9.評価結果:
 わが国の対コートジボワール援助政策は、保健医療、教育、地方給水、農業等、貧困削減や農村開発に係る基礎的ニーズに広く応えるものであるが、草の根無償及び青年海外協力隊というわが国の代表的な草の根支援スキームを活用した社会センターと医療センター双方への支援は、各センター及び各スキーム間の相乗効果を可能にし、サイト周辺において一層わが国のプレゼンスを高めるとともに、基礎的ニーズに対するわが国による草の根レベルでの包括的な援助として適切且つ効果的であったと考えられる。
 また、特に人材育成と社会的地位向上センターが1995年に国家認証の女性教育・職業訓練機関(女性の地位向上を目的に、女性が生活に必要な基礎的知識を身に付けるため、コートジボワール各地域、各地区等に設置されている施設。)として認められたことから、本案件は国の開発計画に沿ったプロジェクトであったと評価できる。なお、コートジボワールの女性のニーズや吸収能力(教育水準)に鑑み、人材育成と社会的地位向上センターの授業内容やクラス構成は当初計画から変更され、その時々のニーズに沿った活動が行われている。
 具体的には、案件開始当初は、2クラスを対象に、講師4名がそれぞれ裁縫、識字教育、衛生教育を行っていた。6年後の現在、講師は8名になり、3年制の6クラスを対象に、裁縫、栄養・調理、識字教育、保健衛生、性教育、母子教育、基礎的農業、環境、市民・女性の権利、数学、文化活動、フラワーアレンジメント等々、幅広いカリキュラムが教えられている。
 識字教育に重点を置いていた当初に比べ、授業内容も充実・多様化し、より幅広い年齢層からの参加があり、結果として生徒の平均年齢が14歳から16歳へとあがってきている。なお、案件計画時は6年制教育を予定していたが、識字率、就学率、年齢差等、各生徒のレベル及び吸収度が様々であるため、実際には各レベルに適した各学年2クラスの3年制の方が授業内容も充実するとの判断に基づき計画が変更された。更に、多くの途上国同様、コートジボワールでも多くの女子生徒の親は女子教育に積極的ではないため、6年制の女子学校よりも3年制で最低限の知識を広く身に付ける学校の方がニーズも高く現実的であるということも考慮されている。なお、受け入れ人数は現在73名で、当初目的の100名には及ばないが、1999年のクーデター及びその後のコートジボワールの情勢不安や寄宿生受け入れ体制不備等も考慮すれば、十分満足できる伸び率(1994年61名→2001年73名、20%増)と評価できよう。また、2000年度の登録人数のみを案件実施時のそれと比較すると大差はないが、学年終了人数の割合が50.8%から85.7%と、中退率が大幅に改善されていることから、質的に大きく向上していることが分かる。なお、寄宿舎建設については、現在草の根無償資金協力要請を受けている。
10.提言:
 本件のフォローアップは、今後派遣予定の青年海外協力隊員との連携を密にしつつ行うべきと考える。草の根無償資金協力及び青年海外協力隊員派遣の連携は、ハードとソフトを組み合わせた草の根レベルからの包括的支援として、大変効果的である。また、プロジェクトが目標としている「年間100人の生徒受け入れ」を可能にすべく、現在新たな草の根無償案件として要請接到済の寄宿舎建設を検討中である。




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