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チリ ・ カレラ市職業訓練所建設計画


1.評価対象プロジェクト名: カレラ市職業訓練所建設計画

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2. 国  名: チリ
実施機関名: 第5州カレラ市
3.援助形態:
 草の根無償資金協力 1999年度 228万円
4.評価実施機関名:在チリ日本国大使館
5.現地調査実施期間:2002年4月23日
6.プロジェクトの分野:社会配慮
7.政策目的又は政策の方向性: 貧困対策
8. プロジェクトの目的:
 カレラ市は首都サンチャゴから北30kmに位置する人口約5万人の地方都市であり、本プロジェクトの実施されたエル・プログレソ地区には111世帯が居住している。当該地区は貧困地区の開発を行う「チリ・バリオ・プログラム」の対象地区として1998年に指定されており、失業者や低所得層の多い地区である。
 本プロジェクトは当該地域に居住する貧困女性のための能力開発、自己啓発を目的としており、現金収入を得られるきのこの生産・販売のための訓練センター建設が計画された。本プロジェクトが対象としている「ヒラタケ」は栽培が容易である一方、チリでは生産者が少なく、商業的に参入する余地があったことから選定された。
 なお、本プロジェクトの推進にあたっては、カレラ市へ派遣中の青年海外協力隊員が貧困女性によるきのこ生産団体の組織化、技術習得、組織運営に携わった。
9. 評価結果:
 本プロジェクトで研修を受けた16名のうち、最終的に残った5名で生産団体を設立し、チリの法人格を取得した。施設は本生産法人へ引き続き貸与され、同法人は生産活動を採算ベースに載せるため、プロジェクト終了後に政府の社会投資連帯基金から資金を調達し、施設の改造及び拡張を行っていた。また、技術面では、JICA個別専門家の仲介により、きのこの研究をしている農牧研究所や大学とのネットワークを構築し、これらの助言を得ていた。
 現在の生産は、毎月300kg、売上げにして126万ペソ(約25万円)であり、赤字を出さずに経営している。主な販売先は市内のスーパー、青空市場などであるが、出荷量を増やすための販路拡大が目下の最大の課題であるとのことであった。また、収入を増やすために収穫物を保管しておく保冷庫や培養室の増強などの投資も必要と考えているとのことであった。
 全くの家事労働にしか携わったことのない女性達がきのこ生産団体を運営するまでに至ったことは、女性達にとって大きな自信となっており、また地域住民の大きな励みになっている。本プロジェクトは貧困女性が自立するための良い事例であるとして、市が全面的にバックアップしている(市長談)。
 施設の空調装置や湿度管理装置は非常に簡素ではあるが、合理的なものであった。また、生産団体の組織化に当たって青年海外協力隊員が中心的な役割を果たしていた。
 本プロジェクトは草の根無償資金協力と青年海外協力隊員の活動が上手く連携できた一例であり、貧困対策として効果的であったと評価できる。
10. 提言:
 本プロジェクトは、資金と人材の両方の投入があったために成功したものと思われる。各援助スキームが連携する案件については、積極的な支援を検討するべきである。また、支援後の自立のためには、ネットワークを構築することも必要である。



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