カメルーン
地方給水計画
(2000年3月、鉱山・水・エネルギー省職員、国土開発省職員)
<プロジェクト概要>
援助形態 |
無償資金協力 |
協力年度 |
94、95、96年度、12.79億円 |
相手国実施機関 |
鉱山・水・エネルギー省地方水利局 |
協力の内容 |
ンゴメザップ、アワエ、ヤングベン、モムディバング、マアン、アコムII、ディボムパリ、ンケング、バング、トンガ地域に飲料水を供給する。 |
<評価要旨>
1. 効率性・目標達成度
(1)井戸
実地調査をした35ヶ所の井戸のうち、32ヶ所で良好に機能していた。他の3ヶ所では、地下水槽の問題(バング、ヤングベン)と回転ポンプの故障に起因する軽微な故障が見られた。
(2)給水施設
給水施設に対する配電等の問題は幾分あるものの、給水施設は良好に機能していることが確認された。
2. インパクト
本計画は住民に直接影響を与えた。衛生面では、水が原因の病気は明白に減少し、社会経済面では、健康な住民達が開発活動に一層専念できる力を得た。更に、村に給水が可能となると住民達はかつて水くみに行くために費やしていた時間を女性の識字教育の他、家畜の飼育、畑仕事、小商いなどの収入に結びつく活動に使用している。子供達は自由になった時間を勉強に使ったり、学校にも恒常的に行くようになった。また、生活改善が見られた。
4.計画の妥当性
水は人間の生存に必須であり、計画の妥当性は高い。「水は命」という言葉こそ、本計画に対して住民が満足していることを余りなく説明するものである。
5.自立発展性
地方給水分野における政府の政策は、裨益者を事業の管理や保守に参加させるものである。このような枠組みの中での管理委員会の設置は、事業を永続させていくものであり、ひいては本計画そのものを永続させていくものである。このような管理委員会に加え、大規模な故障等の際には鉱山・水・エネルギー省が管理委員会を支援し、その指導的役割を続けていく必要がある。
6.環境への配慮・影響
本計画の枠組みの中での汚水溜の建設は、環境面を配慮するという目的にかなったものである。
更に、衛生面や健康面における注意喚起や指導によって、住民達は事業現場やその周辺を定期的に清掃するようになり、事業現場付近の環境悪化を防いでいる。
7.ジェンダーへの配慮・影響
水汲み仕事は通常婦女子によって行われるため、本計画で女性は大きく裨益している。従ってジェンダーへの配慮・影響は明白である。
8.今後必要なフォローアップ
重大な電気系統の故障が1ヶ所あり、国営電気公社(SONEL)の関与が必要である。そのため、故障が生じた際にSONELの迅速な対応措置が得られるよう、鉱山・水・エネルギー省とSONELの良好な協力関係を保持すべきである。
本計画での給水栓については、給水栓の組織的な取り替えを行うべきである。問題のかかる局面は、水を節約することなので極めて緊急を要するため、鉱山・水・エネルギー省レベルで現在検討中である。
長期間の電力切断で(揚水ポンプの)モーターの持続的作動を妨げたことから、鉱山・水・エネルギー省レベルで現在SONELによる電力切断があった場合に電力を補完する小型発電機を供与することを検討中である。
9.将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
給水プロジェクトの場合:SONELからの電力供給が途絶えた場合に備えて小型発電機をポンプステーションに設置する。地方の状況と子供達の恒常的ないたずらを十分考慮に入れた効率的な給水栓の選択が必要である。
他の分野のプロジェクトの場合:プロジェクトで使用される機材は、そのプロジェクトの環境に適合した機材であるべきと考えられる。現実には地域に適応したプロジェクトを実施するために裨益住民の行動を考慮していくべきである。