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序 文

 本報告書は、ODA評価有識者会議が外務省経済協力局より依頼を受けて実施した「文化無償協力の評価」の結果を取りまとめたものである。

 我が国の政府開発援助(ODA)は近年総額で世界のトップクラスの規模を維持しているが、国内的にも国際的にも、より質の高い、効果的かつ効率的な援助の実施が求められている。外務省は、ODAの主管官庁として、ODAの実施管理とアカウンタビリティの確保という二つの目的から、主に政策レベルにおいてODA評価を行っている。本評価は、文化無償協力プログラムの目的、結果、プロセスを検証し、援助政策の見直し及びより効果的・効率的な援助の実施の参考となるための教訓・提言を得ること、さらに評価結果を公表することで説明責任を果たすことを目的としている。

 文化無償協力は、政府開発援助協力のうち、開発途上国の文化と教育の振興に貢献することを目的とした援助スキームのひとつである。開発途上国の多くでは、社会の経済的発展のみならず、その国固有の文化の維持・振興に対する関心も強く、文化面を含む広い視野からバランスのとれた国家開発を行う努力がなされている。こうした努力に対し、我が国としても、それら諸国と協力しながら、伝統文化や文化遺産の保存、芸術・教育活動等への支援を行っている。文化無償協力は、このような我が国の国際文化協力における重要な柱の一つとなっている。

 なお、ODA評価有識者会議は、評価の客観性を高めることを目的とする外務省経済協力局長の私的懇談会であり、外務省経済協力局よりODA評価の実施を依頼され、評価実施方法を策定して評価を実施し、その結果を報告書にとりまとめ、外務省経済協力局に対して参考意見としてフィードバックする役割を担っている。本評価はODA評価有識者会議の牟田博光教授が担当した。

 本評価の実施にあたっては、経済協力局調査計画課をはじめ外務省の関係者にもご協力を頂いた。ここに心より謝意を表したい。なお、本評価では、外務省が業務委託した株式会社三菱総合研究所が一連の補助業務を行った。

 最後に、本報告書に記載された見解は日本政府及びその他関係機関の立場を反映するものではないことを付記する。

 2004年3月

 

ODA評価有識者会議
牟田  博光 (東京工業大学教授)(本評価担当)
川上  照男 (公認会計士、あずさ監査法人)
佐藤  寛  (アジア経済研究所経済協力研究部主任研究員)
高千穂 安長 (玉川大学教授)
正木  朋也 (東京大学客員研究員)
村松  安子 (東京女子大学教授)


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