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ブルガリア・
特別介護児童に関する会議室設置計画


1. 評価対象プロジェクト名:
 特別介護児童に関する会議室設置計画

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2. 国  名: ブルガリア
実施機関名: 「カリン・ドム」基金
3.援助形態:
 草の根無償資金協力 2000年度 3,133,620円
4.評価実施機関名:在ブルガリア日本国大使館
5.現地調査実施期間:2002年3月5日
6.プロジェクトの分野:社会福祉
7.政策目的又は政策の方向性:
 社会政策分野の1つである「社会的弱者の救済」、その中の最優先課題である「児童、失業者、貧困」への対策。
8.プロジェクトの目的:
 ブルガリア政府の社会政策を支援すべく、特別介護児童に関する会議室の施設の屋根裏部屋を改修し、介護技術、特殊教育、特別介護を必要とする児童の家族相互のネットワークを構築するための会議及びワークショップを開催するための設備と講師の宿泊設備をもうける。
 上記の会議及びワークショップを通して介護技術、リハビリ訓練、言語トレーニング等の特殊教育を普及させ、家族相互の協力体制を整備することにより、特別介護児童の一般学校への進学や就業を支援する。
9.評価結果:
 当初の計画通り、草の根無償資金協力により屋根裏部屋が改築され、会議室および簡易宿泊用の部屋、給排水設備が整備された。
 会議室の設備は、日本の協力により供与された机、椅子、OHP等以外にも、他の支援団体から供与されたテレビ、ビデオ、照明、音響設備等があり、充実している。
 定期的な会議が毎週実施されており、特に夏期休暇の7月、8月には全国の介護施設関係者、NGO関係者、英国およびドイツの専門家を招待した会議とワークショップが実施され、施設は有効利用されている。これまでに68回のワークショップが開催されており、23の地域から312名が参加した。
 施設に定期的に通う特別介護児童数は20名程度であるが、上記の会議、ワークショップを通してカリン・ドム基金の介護技術、リハビリ訓練方法、特殊教育の技術は国内の多くの施設に普及しつつある。さらには、介護に関する技術のみでではなく、同基金のNGOとしての運営方法、資金の確保、人材の確保といったノウハウが貴重な情報として他の施設、団体の参考にされている。
 なお、カリン・ドム基金は、NGOの発達が未だ不十分なブルガリアにおいて活発な活動を続けている希な存在である。設立者であるスタンチョフ氏(元外務大臣、元駐英大使)の豊富な人脈により外国人を含めた様々な専門家が活動に参加しており、2001年にはEUより最も優秀なNGOの一つとして表彰を受けている。さらに、同基金は、大使館が社会福祉分野の草の根無償案件を検討する際のアドバイザーとして、貴重な情報を提供している。
10.提言:
 カリン・ドム基金の活動は会議室の整備により益々活発になっており、福祉関係者からの注目を集めている。訪問者の数も増加しており、さらには会議やワークショップを実施する際に、介護や教育を受けている児童の部屋を見学させる機会が増えている。基金としてはこうした訪問客の増加を歓迎する一方で、見学が児童に与える悪影響を懸念している。すなわち、見学により児童の集中力が削がれ、介護、教育の効果が低下することを懸念している。現在基金では、児童が介護、教育を受ける各部屋の天井にテレビカメラを設置し、会議室のモニターにつなげることを計画している。右施設が完成すれば、訪問者および会議、ワークショップの参加者はモニターを通して実際の介護方法や教育方法を見学することができ、児童を煩わせることも避けられる。現在、ケーブルの設置は完了しているとのことであり、今後、基金側でモニター設備等施設を拡充し、更なる有効利用に向けて努力していくことが期待される。
11.外務省(本省)からの一言:
 介護技術等の特殊技術を、ワークショップ等を通じて普及させることを目的に、それらの諸活動に利用される会議室等を整備する目的で本計画は実施され、現地にて高い評価を得ています。今後も、着実にその実績を積み重ねていくことが期待されます。


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