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第1章 評価調査の概要



1.1 調査の背景と目的

バングラデシュ国は後発開発途上国の中で最大の人口を有しており、援助需要が極めて大きい国であると位置付けられている(一人当り国民所得:373 USドル(1999年度)、人口:約1.3億人(1999年度))。外交面では、国連および非同盟グループ等で活発な外交を展開し途上国の代表を自認しているほか、南アジア諸国の関係強化にも尽力している。我が国とは伝統的に友好関係にあり、親日的で我が国への期待感が極めて強いと言われている。

なお、我が国政府開発援助(ODA)の形態別および分野別の実績を示すと以下のとおりである。援助額で見れば我が国の対バングラデシュODAは無償資金協力が累計で全体の6割近くを占めている。また、分野別事業実績では、プロジェクト無償の場合、運輸・通信(38.2%)、洪水対策(21.5%)、農業・農村開発分野(16.0%)を中心に支援しており、プロジェクト有償の場合は運輸・通信(52.8%)、電気・ガス(23.3%)を中心に援助を実施している。

表1-1-1 我が国ODAの形態別および分野別実績 (単位:億円)
1990~99年度
までの累計
有償資金協力 無償資金協力 技術協力 合 計
1,422.67
(37.8%)
2,156.04
(57.2%)
187.35
(5.0 %)
3,766.06
(100.0 %)
プロジェクト
有償
ノンプロジェクト
有償
プロジェクト
無償
ノンプロジェクト型
無償
1,258.67
(33.4 %)
164.00
(4.4 %)
441.69
(11.7 %)
1,714.35
(45.5 %)
出典: ODA白書各年版より作成。
備考: ノンプロジェクト有償は主に商品借款、ノンプロジェクト型無償は主に債務救済、災害援助、食料援助である。


図1-1-2 分野別プロジェクト援助累計割合

無償 有償
出典:ODA白書各年版より作成


1999年度における我が国ODAの供与実績では、バングラデシュ国は全体で第14位、無償資金協力では第1位、技術協力では第15位となっている。また、バングラデシュ国における二国間援助では、日本が最大の援助供与国であり、1999年度において二国間援助全体の20.4%を占めている。このように、援助額で見た我が国の対バングラデシュ援助のプレゼンスは極めて大きい。さらに、2000年3月には対バングラデシュ国別援助計画が策定されるに至り、政策対話と国別アプローチの強化が図られつつある。しかしながら、同国についての国別評価は、1989年以降実施されてない。

以上を踏まえ、我が国の対バングラデシュODAは戦略的に重要であるとういう認識の下、本調査では我が国ODAの効果を総合的に事後評価すると共に、対バングラデシュ国別援助計画の現時点における有用性のレビューを含め、その評価結果を今後の援助政策に反映させるに資する提言を得ることを目的とする。

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