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II タイ現地調査結果

II-4 家内工業就労ガイダンス(JICAタイ国内研修、270万バーツ(813万円)、1999年実施)

II-4-1 事業の内容

この研修事業は、労働福祉省労働安全福祉局が1980年代から実施してきた家内工業労働者(Home Based Worker)に対する所得の向上や安全性の確保を目的とした研修の一部をJICAが負担したものである。JICAはアジア通貨危機によって都市部で解雇された労働力が地方の出身地に帰って家内工業に参入する可能性が高いとして、この研修をサポートした。

II-4-2 現地踏査

チェンライ県チェンコン郡で、ほうき、洋服、布、鞄などを製造しているグループにインタビューを行った(インタビューを行ったのは5つのグループの代表者30人、男性は1名だけ出席)。以下にインタビュー結果について記す。

  • チェンコン郡では80人に対して1999年3月に3日間の研修を行った。研修内容は職場安全の確保、会計・経営、マーケティング、法律などであった
  • 研修後、研修を受けていない人も含めてグループを作り、ほうき、洋服、伝統的な生地、鞄などの製造を始めた
  • もともと全員が農業に従事していたが、農閑期の副業や新たな事業を開始することができた
  • NGOの「Credit Union League of Thailand」が事業を始めるときの資金を貸し付けた。「Credit Union League of Thailand」と労働福祉省労働安全福祉局は協力関係にある
  • JICAの研修は職場の安全性や会計の管理などに役立っていると考えているが、最終的な生活条件の向上には必ずしも結びついていないととのことである。その理由は、自分たちの売り物の価格は上がらない一方、生活用品の物価は上昇していること、特に伝統的な生地やほうきの製造は市場性があまりないことである
  • 製造用の機械を購入したいがその資金も準備できないことが事業拡大の制約になっている
  • 組織の管理や安全に関する研修だけでなく、製造品の質を上げるための研修も受けたい


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