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I インドネシア現地調査

I-1 支援の全貌

I-1-1 支援の実績

日本がインドネシアに対して実施した主要なアジア通貨危機支援は、以下のとおりである。

  • 緊急無償(医療品、医療品原料、粉ミルク等支援、政府米貸付に伴う海上輸送)(3件、113億円、1997年度、1998年度交換公文)
  • ノン・プロジェクト無償(2件、55億円、1998年度、2000年度交換公文)
  • 国連開発計画(UNDP)を通じた緊急無償(2件、40億円、1998年度、1999年度交換公文)
  • 国連食料計画(WFP)を通じた援助(32億円、1998年度、1999年度交換公文)
  • セクター・プログラム・ローン(200億円、1998年3月3日借款契約)
  • セクター・プログラム・ローン(500億円、1998年10月16日借款契約、1,000億円、1998年12月24日借款契約、詳細は後述)
  • ソーシャル・セーフティ・ネット借款(新宮澤構想の一環、452億円、1999年3月12日借款契約)
  • 保健・栄養セクター開発計画(新宮澤構想の一環、アジア開発銀行(ADB)との協調融資、352億円、1999年3月12日借款契約)
  • ソーシャル・セーフティ・ネット調整借款(世界銀行との協調融資、719億円、2000年1月25日借款契約)
  • ジャワ幹線鉄道電化・複々線化事業(フェーズ1)(特別円借款、410億円、2001年12月13日借款契約)

その他にも1997年度から2000年度の間に以下の支援を実施した。

  • 1997年度交換公文締結分円借款(19件、1952億円、1998年1月28日借款契約)
  • 2000年度交換公文締結分円借款(5件、581億円、2001年7月5日、2001年12月13日借款契約)
  • 上記以外の無償資金協力(1997年度53億円、1998年度50億円、1999年度36億円、2000年度約49億円)
  • 技術協力(1997年度123億円、1998年度109億円、1999年度101億円)
日本の支援はインドネシア経済の安定を取り戻し、雇用を確保することに重点を置いていた。円借款は、1998年度、99年度にはディスバースメントから実際の利用までの時間が短く、柔軟性の高いノン・プロジェクト借款が実施された。2000年になってプロジェクト型の円借款を再開している。無償資金協力は、調査を行った3ヵ国の中で緊急無償やノン・プロジェクト無償が件数、金額ともに最大で、かつ、断続的に供与されている。特別円借款に関しては、これまでにインドネシア側からは8件の要請があったが、実現されたのは1件である。

I-1-2 日本・インドネシア関係者へのインタビュー調査結果

日本の援助の窓口となるインドネシア政府国家開発庁(BAPPENAS)の関係者等に対してインタビューを行った。その結果は以下のとおりである。

  • 円借款の実施の速さ・柔軟性の高さ・規模が、当時のインドネシア経済や、インドネシア政府の受け入れ能力に見合うものであった(BAPPENAS)
  • 円借款により積み立てられた見返り資金によって、インドネシア政府で不足した公共投資のための資金を補うことができた(BAPPENAS)
  • 見返り資金を投入するセクターを決定する際に、各省のJICA専門家がその調整に活躍した(BAPPENAS)
  • 現在、円借款を選定する基準は、1. 既存インフラのリハビリテーションに関するもの、2. ベーシック・ヒューマン・ニーズに関するもの、3. 輸出促進に関するものを設定して各省からの候補案件を評価・選定している(BAPPENAS)
  • 現在BAPPENASから日本政府に対して要請される円借款案件は、候補が十分に絞りきれておらず、かつ、プライオリティ付けが不明確である(日本側関係者)
  • JBICが世界銀行と協調融資で実施した「ソーシャル・セーフティ・ネット調整借款」は、世界銀行がインドネシア側のコンディショナリティの未達成を理由に新たな融資を停止したことに伴い、融資が停止した(日本側関係者)
  • ADBとの協調融資案件である「保健・栄養セクター・プログラム・ローン」やその他の円借款案件は、円貨が予定通り支払われた(日本側関係者)


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