本章ではインドネシアのアジア通貨危機による影響を確認した後、支援スキームの組み合わせ、世界銀行・アジア開発銀行の支援との役割分担、個別事業と国別援助方針における位置付けなどを分析する。最後に、政策に基づいて実施された個別の支援がどのような成果をあげ、最終的にインドネシア経済にどのように貢献したかを分析する。
インドネシアは現地調査を行った3ヵ国の中で最も大きな経済的影響を受け、30年以上続いたスハルト政権の崩壊に代表される政治的混乱も発生した。
さらにハビビ元大統領とワヒド前大統領のもとで中央政府の改編と地方分権化が大胆に進められた。これまでインドネシアでは中央政府の各省庁の出先が地方に行き渡り、公共部門が行う事業を実施する上で大きな役割を果たしていたが、その出先機関が廃止され、中央から州、県レベルに権限が大幅に移管された。地方分権化が急速に進められたため、インフラの整備だけではなく、運営・維持などにも混乱が見られた。