図3-3は1995年を100とした消費者物価指数の動きである。1993年から97年までは3ヵ国とも全く同じ消費者物価の上昇を記録しているが、アジア通貨危機後はそれぞれ異なった動きをしている。
図 3-3 消費者物価指数の変化
インドネシアは、通貨危機後の1998年に物価が急激に上昇し、前年の2倍近くを記録している。99年にも消費者物価の大幅な上昇は続き、2000年になってようやく沈静化しつつある。インドネシアのこの物価上昇の原因は、1997年に発生した干ばつ、為替レートの大幅な減価、構造調整政策の下で実施された電気や石油に対する補助金の廃止などに求められる。
フィリピンはアジア通貨危機後も消費者物価指数の上昇は過去のトレンドをたどり、比較的安定した上昇を記録している。タイは通貨危機後の1998年から消費者物価はほぼ一定水準で、極めて安定している。この2国は為替レートの減価は短い期間であり、それが物価の不安定化を防いだと考えることができる。