評価年月日:平成26年3月8日
評価責任者:国別開発協力第一課長 宮下 匡之
ベトナム社会主義共和国
タイビン火力発電所及び送電線建設計画(第二期)
ベトナム北部タイビン省タイトゥイ郡のタイビン火力発電所センター内に600メガワット(300メガワット×2基)の火力発電所を建設するとともに,周辺地域の送電線及び関連施設を整備することで,首都ハノイを含む発展著しい北部地域への電力の安定供給を図るもの。
ア 主要事業内容
・土木工事
・コンサルティングサービス
イ 供与条件
供与限度額 | 金利 | 償還(うち据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
363.92億円 | 年1.4% | 30(10)年 | 一般アンタイド |
(注)コンサルタント部分は金利0.01%を適用。
ア 発電所に係る環境影響評価報告書は,2009年3月にベトナム天然資源環境省より承認済み。また,送電線に係る環境保護許認可書は,同年2月にタイビン省人民委員会天然資源環境局により承認済み。発電所からの排気については,脱硫装置を設置する等の対策により,世銀水準を満たす見込み。
イ 発電所建設には約257ヘクタールの用地取得,送電線建設には約2.8ヘクタールの用地取得と8世帯の非自発的住民移転が必要であり,同国国内手続きに則り関連手続きが進められる。
ウ 外部要因リスクは特になし。
ア 開発ニーズ
ベトナムは2007年以降GDP成長率が年平均6%を記録する経済成長を遂げ,これに伴い電力需要も年平均12.5%で伸長している。一方,電源開発は資金不足,売電交渉の長期化等の要因により十分に進捗しておらず,結果として電力需給が逼迫し計画停電が実施されるなど,同国の経済・社会経済活動に負の影響を与えており,電力の安定供給が喫緊の課題となっている。
2011年に策定された「第7次国家電力マスタープラン」(2011~2020年)では,,今後の電力需要増を踏まえ,国内炭の活用と燃料費抑制の観点から,2030年には石炭火力が電源構成の51.6%を占めるよう,石炭火力を主流にする計画である。
イ 我が国の基本政策との関係
2012年12月に策定された対ベトナム国別援助方針においては,「成長と競争力強化」を重点開発課題に掲げており,「エネルギーの安定供給及び省エネルギーの推進」に係る支援に重点的に取り組むとしている。火力発電所の建設を目的とする本事業は本方針に整合している。
電力が逼迫しているベトナム北部において,同地域産出の石炭を燃料とする石炭火力発電所等を建設することにより,北部の電力需要に,より効率的に対応するものとなっている。
本計画の実施により,同国北部における最大電力需要(2013年時点で約10.4ギガワット)の約6%相当の電力を供給することが可能となる。それにより,首都ハノイを含む発展著しい北部地域への電力の安定供給を図ることで,同国の経済及び社会開発の促進が期待される。また,ベトナムの経済・社会発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。
要請書,国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html),ベトナム国別評価,その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),
借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。