評価年月日:平成26年3月8日
評価責任者:国別開発協力第一課長 宮下 匡之
ベトナム社会主義共和国
ラックフェン国際港建設計画(港湾)(第二期)
ベトナム北部ハイフォン市東部のラックフェン地区において,大型コンテナ船の受入れを可能とする大水深港湾の建設及び周辺基礎インフラの整備を行うもの。
ア 主要事業内容
・土木工事
・コンサルティングサービス
イ 供与条件
供与限度額 | 金利 | 償還(うち据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
210.51億円 | 年0.1% | 40(10)年 | 日本タイド |
(注)コンサルタント部分は金利0.01%を適用。
ア 港湾部分に係る環境影響評価(EIA)報告書は2008年10月(ただし,浚渫土砂捨て場の補足EIAについては2013年2月)にベトナム天然資源環境省により承認済み。
イ 約19.4ヘクタールの用地取得を伴い,同国国内手続に沿って取得が進められる予定。
ウ 民間からの提案による官民連携案件の第1号認定案件であり,民間資金にてコンテナヤード整備,荷役機械等調達,及び関連施設整備を行う計画との連携を図り,時宜を得た支援を実施する必要がある。
ア 開発ニーズ
ベトナム北部海岸沿いのハイフォン市・ハロン市から首都のハノイ市までの間には多数の外国企業が進出しており,北部の経済発展に貢献している。これら外国企業の活動を支える主要港としては,円借款で改修及び拡張を実施したハイフォン港とカイラン港があるが,今後の拡張計画を考慮しても,両港におけるコンテナ貨物取扱可能量の合計は4,000万トンにとどまる。他方,経済成長に伴うベトナム北部のコンテナ貨物量は,2015年に4,200万トン,2020年には5,900万トンに増大すると見込まれており,これらコンテナ貨物を両港のみで取り扱うことは困難である。
こうした中,ベトナム北部におけるコンテナ貨物取扱可能量を増加することが急務となっているが,ハイフォン港・カイラン港のこれ以上の拡張は技術的・社会的に困難な状況となっている中,新たな港湾の整備が必要となっている。
イ 我が国の基本政策との関係
2012年12月に策定された対ベトナム国別援助方針においては,「成長と競争力強化」を重点開発課題に掲げており,「経済成長に伴い増大している経済インフラ需要に対応するため,幹線交通及び都市交通網の整備」に係る支援に重点的に取り組むとしている。幹線交通の整備を目的とする本事業は本方針に整合している。
既往の港湾整備事業において,アクセス道路の整備の状況が劣悪なため効果発現に悪影響を与えた事例があることを踏まえ,本計画においては,港湾とともに道路・橋梁を一体的に整備することで案件の効率性の確保を図っている。
本計画の実施により,事業完成2年後の2019年には,約600万トンのコンテナ貨物が取扱い可能となり,ベトナムにおいて増大している貨物需要に対応するとともに,利用船舶の大型化等により物流コストの低減が図られ,同国北部のみならず全国の経済発展促進・国際競争力強化に寄与する。
要請書,国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html),ベトナム国別評価,その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),
借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。