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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成26年3月8日
評価責任者:国別開発協力第一課長 宮下 匡之

1 案件概要

(1)供与国名

ベトナム社会主義共和国

(2)案件名

南北高速道路建設計画(ダナン-クアンガイ間)(第二期)

(3)目的・事業内容

ベトナム南北高速道路網の一部であるダナン-クアンガイ間において,高速道路(全長131.5キロメートル)を建設することにより,ベトナム中部地域の物流・生産拠点であるダナン市周辺において増加する交通需要への対応,物流の効率化及び交通渋滞の緩和を図り,もって同地域の経済成長促進・国際競争力強化に寄与するもの。(本案件は,世界銀行との協調融資案件であり,円借款工区はダナン~タムキー間 65キロメートル)

ア 主要事業内容

・土木工事
・コンサルティングサービス

イ 供与条件

供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
300.08億円 年1.4% 30(10)年 一般アンタイド

(注)コンサルタント部分は金利0.01%を適用。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

ア 本件に係る環境影響評価報告書は,2008年11月にベトナム天然資源環境省により承認済み。また,線形変更に伴い作成された補足EIA報告書は,2010年10月に承認済み。

イ 約456ヘクタールの用地取得及び306世帯の住民移転を伴い,同国国内法にのっとり作成された住民移転計画(RAP)に沿って用地取得が進められる予定。

ウ 外部要因リスクは特になし。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

ア 開発ニーズ

始点となるダナン市は中部最大の都市で,同国第3の港湾であるティエンサ港周辺には輸出加工特区等の物流・生産拠点が多く立地し,近年,周辺部との交通量は大幅に増大している。なかでも都市内の一般道路における大型車の急増は,生活環境の悪化,道路施設の劣化・損傷等の問題を引き起こしているところ,大型車の市街地への流入を防止する対策が必要とされている。

また,ダナン市に隣接するクアンナム省では,同国初の石油精製所となるズンクワット製油所が建設されており,同製油所で精製される石油は,本計画対象区間を通って輸送されることが期待されている。

さらに,ダナン市は,ラオス,タイを通りミャンマーまで続く東西経済回廊の東の物流拠点であり,本計画は同国及びメコン地域の東西南北を結ぶ国際物流の主要区間として,中部地域の経済振興・国土の均一の取れた発展という点でも重要な意味を持つ。

イ 我が国の基本政策との関係

2012年12月に策定された対ベトナム国別援助方針においては,「成長と競争力強化」を重点開発課題に掲げており,「経済成長に伴い増大している経済インフラ需要に対応するため,幹線交通及び都市交通網の整備」に係る支援に重点的に取り組むとしている。幹線交通の整備を目的とする本事業は本方針に整合している。

(2)効率性

既往の高速道路事業の事後評価から,事業効果発現のためには,個別の高速道路の断片的な建設ではなく,国家高速道路計画に基づく支援が重要であり,事業完成後の持続性確保の観点からも,計画初期段階から維持管理費等を含む維持管理体制の策定・構築,及び料金徴収計画の慎重な検討が必要であるとの教訓を得ている。これらを踏まえ,本計画については,高速道路マスタープランの優先区間を採り上げている他,維持管理体制の構築及び料金徴収計画策定について,技術協力との連携を通じて強化を図ることにより,案件の効率性を確保する。

(3)有効性

本計画の実施により,当該区間の所要時間の短縮(230分から90分(完成2年後・2019年))が見込まれており,これにより旅客・貨物輸送の効率化,及びベトナム中部地域の経済及び社会開発の促進が期待される。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

要請書,国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html他のサイトへ),ベトナム国別評価,その他国際協力機構より提出された資料。

案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html), 借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html他のサイトへ)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html他のサイトへ)を参照。

なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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