評価年月日:平成25年12月9日
評価責任者:国別開発協力第一課長 宮下 匡之
ベトナム社会主義共和国
ノイバイ国際空港第二旅客ターミナルビル建設計画(第三期)
ハノイのノイバイ国際空港において,国際旅客用の第二旅客ターミナルビルの建設及び付帯施設一式(道路・駐車場,手荷物処理システム,セキュリティシステム,下水処理システム,航空機燃料供給システム等)の整備を行うもの。
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
260.62億円 | 年0.1% | 40(10)年 | 日本タイド |
(注)コンサルタント部分は金利0.01%を適用。
(ア)本計画の環境社会配慮カテゴリ分類は「B」。本計画に係る環境影響評価(EIA)報告書は2009年8月にベトナム天然資源環境省(MONRE)により承認済み。
(イ)約101haの用地取得を伴い,同国国内法に沿って取得が完了している。
(ウ)工事中の大気質,騒音等については,工事用機材の汚染物質排出量チェック,散水,防音壁設置等の対策をとることで,同国国内の環境基準を満たす見込みである。
(ア)開発ニーズ
ベトナムでは首都ハノイやホーチミン市を中心とした大都市で航空旅客輸送量が急増(2010年までの10年間で国際旅客数は毎年2割程度増加)しており,対応する旅客取扱施設等の整備が重要な課題となっている。特に首都ハノイのゲートウェイ空港であるノイバイ国際空港では,2007年以降,旅客数が旅客ターミナルビルの計画容量(年間600万人)を超過しており(2010年は約950万人),旅客取扱施設の拡張は急務である。
本計画はノイバイ国際空港に国際旅客ターミナルを新設することにより,同空港の旅客取扱容量を拡大し,急増する航空需要に適切に対応するとともに,利便性,安全性の向上を図るものであり,本計画のニーズは大きい。
(イ)我が国の基本政策との関係
2012年12月に策定された対ベトナム国別援助方針においては,「成長と競争力強化」を重点開発課題に掲げており,「経済成長に伴い増大している経済インフラ需要に対応するため,幹線交通及び都市交通網の整備」に係る支援に重点的に取り組むとしている。幹線交通の整備を目的とする本事業は本方針に整合している。
空港から市街地へのアクセス道路を整備するプロジェクトとして,円借款案件「ノイバイ国際空港-ニャッタン橋間連絡道路建設計画」が並行して実施されているところ,本計画により整備予定のターミナル部分の道路・駐車場と計画面での整合性を確保するとともに,施工状況の管理を行うことにより,案件の効率性を確保する。
本計画の実施により,同空港の旅客取扱容量が拡大し,急増する航空需要に適切に対応することが可能となり(国際線年間旅客数367万人→836万人(2017年:完成2年後)),同空港の利便性,安全性の向上が図られ,同国の経済成長促進・国際競争力強化が期待される。
要請書,国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html),ベトナム紅河デルタ地域運輸交通インフラ開発プログラムの評価,ベトナム国別評価,その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。