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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成25年12月9日
評価責任者:国別開発協力第一課長 宮下 匡之

1. 案件概要

(1)供与国名

ベトナム社会主義共和国

(2)案件名

ハノイ市環状3号線整備計画(マイジック-タンロン南間)

(3)目的・事業内容

ベトナムの首都ハノイ市において,外郭に沿う環状3号線のうち,高規格道路が未整備である約5kmの区間において高架型の都市高速道路を整備するもの。

供与限度額 金利 償還(据置)期間 調達条件
205.91億円 年1.4% 30(10)年 一般アンタイド

(注)コンサルタント部分は金利0.01%を適用。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

(ア)本計画の環境社会配慮カテゴリ分類は「A」。本計画に係る環境影響評価(EIA)報告書は2013年4月にベトナム交通運輸省(MOT)により承認済み。

(イ)本事業は既存道路上の高架道路建設事業であり,一部国有地の用地取得は生じるものの,民有地の用地取得及び住民移転は発生しない。

(ウ)工事中の大気質,騒音等については,工事用機材の汚染物質排出量チェック,低騒音型機材の採用等により,道路整備完了後の騒音については,防音壁の設置や低騒音舗装の採用などの緩和策を講じることで,それぞれ同国国内の環境基準を満たす見込み。

(エ)使用中の道路における工事となるところ,安全性に十分に配慮するとともに渋滞発生が最小限となるよう,適切な施工計画の策定に留意する。

2. 資金協力案件の評価

(1)必要性

(ア)開発ニーズ

急速な経済発展・人口増加・モータリゼーションを続けているハノイ市においては,自動車とオートバイの登録台数はそれぞれ,2008年の26万台と337万台から,2011年の41万台と398万台へと急増した。交通量の増大に伴って同市内の道路では交通渋滞が深刻化・慢性化し,効率的な社会経済活動が阻害されている。

そのため,周辺地域から同市中心部への流入・通過交通の低減により市内交通の混雑を緩和するとともに,周辺地域間交通・物流の円滑化を図る対策として環状道路ネットワークの整備が段階的に進められている。

本事業は市街地の外郭に沿うハノイ市環状3号線のうち,高規格道路が未整備であるマイジック交差点からタンロン南までの約5kmの区間において,既存道路上に高架型の都市高速道路を整備するものであり,交通需要に対応し戦略的・計画的に交通網整備を図る観点から,本事業の実施を支援する必要性・妥当性は高い。

(イ)我が国の基本政策との関係

2012年12月に策定された対ベトナム国別援助方針においては,「成長と競争力強化」を重点開発課題に掲げており,「経済成長に伴い増大している経済インフラ需要に対応するため,幹線交通及び都市交通網の整備」に係る支援に重点的に取り組むとしている。都市環状道路の整備を目的とする本事業は本方針に整合している。

(2)効率性

「紅河橋整備事業」等を通じて我が国が段階的な整備を支援してきたハノイ市環状3号線について,本計画により一体的なネットワークが確保され,相乗的な事業効果の発現が期待される。また,現道上での整備により,新たな用地買収を回避することで事業期間の短縮を図り,効率性を確保する。

(3)有効性

ベトナムの首都であり,越北部経済の拠点であるハノイ市において,環状道路を建設することにより,増加する交通需要への対応及びマイジック-タンロン南間の所要時間の短縮(完成2年後(2020年)見込み:日交通量53,983台/日→75,069台/日,所要時間15分→5.5分)を図り,もって同地域の経済発展に寄与する。

3. 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

要請書,国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html),ベトナム紅河デルタ地域運輸交通インフラ開発プログラムの評価,ベトナム国別評価,その他国際協力機構より提出された資料。

案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html)を参照。

なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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