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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成26年3月27日
評価責任者:国別開発協力第二課長 花尻 卓

1 案件概要

(1)供与国名

パラグアイ共和国

(2)案件名

東部輸出回廊整備計画

(3)目的・事業内容

パラグアイのアルトパラナ県及びイタプア県において,東部輸出回廊の整備(アスファルト舗装,れき舗装及び橋梁の拡幅,架け替え)を行うことにより,同国の輸送効率を向上させることを通じて輸出競争力を強化し,もって同国の経済の活性化に資するもの。

ア 主要事業内容

  1. 地方道路整備(パラナ河沿岸道路約147キロメートル)
  2. コンサルティングサービス

イ 供与条件

供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
178.97億円 0.95% 20(6)年 一般アンタイド

(注)コンサルタント部分は金利0.01%を適用。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

(ア)EIA(環境影響評価)

2012年10月に作成済み。

(イ)用地取得

本事業に伴い,最大約1,200ヘクタールの用地取得及び18世帯(約140名)の非自発的住民移転が発生する。同国土地収用法及び簡易住民移転計画に基づいて実施する予定。

(ウ)外部要因リスク:特になし。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

(ア)開発ニーズ

内陸国であり,基幹産業が農業であるパラグアイでは,輸送手段の9割を河川・道路輸送に依存しており,農作物をパラナ河及びパラグアイ河を利用して大西洋まで運搬し,海外に輸出している。しかし,生産地と河川の輸出港をつなぐ道路の多くが未舗装であり,幹線道路を中心に舗装道路は僅か約8%,礫舗装を含めても約14%に留まっていることから,輸送車両の損傷・荷崩れが頻繁に発生し,悪路による通行止め等の影響で,安定的な国内輸送が困難な状況にある。

農作物の主要生産地であるパラグアイ東部のパラナ河に隣接するアルトパラナ県及びイタプア県においては,昨今の世界的な穀物需要増に伴い穀物生産量が増大しており,パラナ河を利用した輸出需要の増加に対応すべく,安定的な国内輸送の確保が求められている。

(イ)我が国の基本政策との関係

2012年4月に策定された「国別援助方針」においては,今後の対パラグアイODAの重点目標として,(a)格差是正(貧困層の生計向上や保健医療,基礎教育の拡充等),(b)持続的経済開発(電力・運輸・水道分野のインフラ整備)を掲げている。本計画は,輸出回廊の整備という観点から,同国のインフラ整備に資する案件として上記(b)に資するものであり,我が国の基本政策とも合致する。また,農産物の安定的輸送の確保による小農の生産量の増加にも資するものであり,上記(a)に合致する側面も有している。

(2)効率性

パラグアイ側が工事を実施する沿岸道路接続道との接続地点では,パラグアイ政府と協力して事業実施の効率性を図る。また,世銀及びIDBが民間委託による舗装道路の維持管理向上プロジェクトを実施中のところ,本事業完成後,本事業においても同枠組みを適用することにより,効率的な維持管理を行う。

(3)有効性

本計画の実施により,パラグアイ東部の安定的かつ効率的な輸送の確保が図られ,輸出競争力の強化や,農産物の生産量の増加による経済の活性化に寄与することが期待される(完成2年後(2022年)見込み:年平均交通量790~2,280台/日,都市間移動短縮時間1.1~3.3時間,走行速度の向上100キロメートル/時)。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/index.html他のサイトへ),その他国際協力機構より提出された資料。

案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html他のサイトへ)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html他のサイトへ)を参照。

なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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