評価年月日:平成25年5月14日
評価責任者:国別開発協力第一課長 横山 正
ミャンマー連邦共和国
ティラワ地区インフラ開発計画(フェーズ1)
ティラワ地区のインフラ(港湾と電力関連施設)を整備することにより、同地区への直接投資の流入の拡大を促進し、同地区を含むヤンゴン都市圏の発展及び雇用創出を図り、もってミャンマーの経済成長に寄与する。
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
200億円 | 年0.01% | 40(10)年 | 一般アンタイド |
(ア)環境影響評価:本計画は港湾、送変電・配電網セクターのうち大規模なものに該当せず、環境への望ましくない影響は重大ではないと判断され、かつ、影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しない。また、本計画にかかる環境影響評価(EIA)報告書は、EIAに関するミャンマー国内法上、作成は義務付けられていない。
(イ)用地取得及び住民移転:本計画では新たな用地取得及び住民移転は発生しない。
(ウ)外部要因リスク:特になし。
(ア)開発ニーズ
ヤンゴン都市圏に隣接するティラワ経済特別区(以下、「SEZ」という。)は、豊富な労働力及び既存の産業集積、また既存港湾が活用できること等が利点となっており、ミャンマー政府は優先的に開発を推進する意向を表明している。またミャンマー政府は、ティラワSEZ開発において、高い技術力を有し、アジア各国のSEZで雇用創出の実績を持つ日本企業の進出を期待している。他方、同SEZ建設予定地を含むティラワ地区は現時点では基礎インフラが未整備となっており、周辺住民の生活向上及び企業進出促進のためには、ティラワ地区のインフラ整備が急務となっている。特に、ヤンゴン圏の電力需給がひっ迫しており、ティラワ地区向けの十分な電力供給が可能となるよう電力関連施設(変電、発電、送配電等)の整備が喫緊の課題となっている。また、ティラワ地区には既存コンテナターミナルがあるが、今後ティラワSEZを中心として急速に進むと期待される工業化及びミャンマーの経済成長によって、早晩既存取扱容量を超えるコンテナ貨物需要が生じることが予測され、港湾の拡張も急務である。
(イ)我が国の基本政策との関係
本計画は、SEZを含むティラワ地区に関連する電力関連施設及び港湾関連施設のインフラを整備することにより、同地区への直接投資の流入の拡大を促進し、同地区を含むヤンゴン都市圏の発展及び雇用創出を図り、もってミャンマーの経済成長に寄与するため、2012年4月に見直した我が国の対ミャンマー経済協力方針「持続的経済成長のために必要なインフラや制度の整備等の支援」に合致する。
民間企業からの情報を聴取しつつ、SEZを含むティラワ地区開発に必要なインフラ整備をすべく案件形成をすすめていく。また、投資促進能力の向上を図るべく、別途技術協力を通じて支援を行う予定であり、これにより、本計画の効率性を確保していく。
本計画の実施により、事業完成2年後の2018年には、電力は定格出力50メガワット、コンテナ取扱量が187,000TEU/年が可能となり、ティラワSEZへの投資環境向上と同地域住民の生活の向上が図られる。また、ミャンマーの経済発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。
※TEU(Twenty-foot Equivalent Unit):20フィートコンテナを1単位として、港湾が取り扱うことのできる貨物量を表す単位。
要請書、「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月公布)(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/index.html)、その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は、交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html)、借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html)を参照。
なお、本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。