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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成25年12月26日
評価責任者:国別開発協力第三課長 貴島 善子

1. 案件概要

(1)供与国名

モザンビーク共和国

(2)案件名

マプト・ガス複合式火力発電所整備計画

(3)目的・事業内容

モザンビークの首都マプト市において新規ガス複合式火力発電所を建設することにより,近年の順調な経済成長によって,電力が不足することが見込まれている同国南部地域において安定的な電力供給の実現を図り,もって電力不足の緩和及び経済の成長に寄与するもの。

ア 主要事業内容

●土木工事・資機材
●コンサルティング・サービス

イ 供与条件

供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
172.69億円 年0.01% 40(10)年 一般アンタイド

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

ア 環境影響評価(EIA):EIA報告書は2013年9月に,環境調整省により承認済み。

イ 用地取得及び住民移転:本事業はモザンビーク電力公社所有の用地内で実施されるため,発生しない。

ウ 外部要因リスク:特になし。

2. 資金協力案件の評価

(1)必要性

ア 開発ニーズ

モザンビークにおいて電力系統は南部系統と中・北部系統の2つに分離されているが,近年の順調な経済成長(6~7%程度)により電力需要の増加が見込まれており,首都圏を含む南部系統の電力需要については今後5年間で年平均約20%も電力需要が増加し,慢性的に電力が不足する見込みである。またモザンビーク政府は,「エネルギー戦略(2009-2013)」の中で,国産エネルギーである天然ガスを利用した複合式火力発電所の建設を掲げており,その戦略を具体化した電力公社の年間計画(2013)では,本事業が,優先度の高い事業として位置づけられている。

イ 我が国の基本政策との関係

我が国は,モザンビークに対する支援において,「回廊開発を含む地域経済活性化」を援助重点分野に掲げており,本件は右重点分野に合致する。また,本支援は,2013年6月にTICAD Vにおいて表明した公約「インフラ整備への6,500億円の公的資金の投入」及び「2,000億円の低炭素エネルギー支援」に沿ったものである。

(2)効率性

事業実施機関の維持管理要員の確保やトレーニングのあり方が重要との過去の類似案件の事後評価結果を踏まえ,本件の効率性を確保するため,組織強化コンサルタントを雇用し,維持管理体制の構築及び能力強化を支援すると共に,コントラクターによる長期保守トレーニングを導入し,OJTによるメーカーからの技術移転を行う。

(3)有効性

拡大を続けるモザンビークの電力需要に対して,国産天然ガスを利用するガス複合式火力発電所を建設することにより,同国首都を含む南部地域において安定的な電力供給を図り,同国の電力不足の緩和及び経済の成長に寄与することが期待できる(完成してから2年後(2020年)で最大出力100MWの見込み)。また,発電効率の改善による温室効果ガスの排出削減(年間約4万トン)も期待される。さらに,モザンビークの経済・社会の発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待できる。

3. 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

要請書,これまで国際協力機構より提出された資料及びモザンビーク国別評価報告書。案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html)を参照。

なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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