評価年月日:平成26年2月17日
評価責任者:国別開発協力第一課長 宮下 匡之
インドネシア共和国
ジャカルタ首都圏鉄道輸送能力増強計画(第一期)
本計画は,交通混雑が深刻なジャカルタ首都圏において,ジャカルタ首都圏鉄道の車輛検査・整備場拡張,鉄道システム改良,及び車輛調達等を行うことにより,旅客輸送能力の増強を図るもの。
ア 主要事業内容
・土木工事・資機材
・コンサルティング・サービス
イ 供与条件
供与限度額 | 金利 | 償還(うち据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
163.22億円 | 年1.4% | 25(7)年 | アンタイド |
ア 本計画に関する環境影響評価(EIA)報告書は,インドネシアの国内法上では作成が義務付けられていない。環境管理計画及び環境モニタリング計画は着工前にデポック市環境管理局より承認見込み。
イ 本計画は,インドネシア運輸省鉄道総局の所有地内での車両検査・整備場拡張であり,用地取得及び住民移転は発生しない。
ウ 大気汚染,水質,騒音等のモニタリングは,工事中,また供用後もインドネシア運輸省鉄道総局が実施する。
ア 開発ニーズ
ジャカルタ首都圏では,人口(過去10年間で約1.3倍(年平均約2.8%増),ジャカルタ中心部への通勤者数(過去8年間で約1.5倍)及び車両(過去10年間で約3.6倍))の急増に伴い,深刻な交通混雑や排気ガスによる大気汚染等の交通公害が喫緊の課題となっている。今後も交通需要の増加が見込まれる中で,ジャカルタ首都圏における新たな大量都市交通システムの整備及び既存の公共交通サービスの強化は不可欠である。
インドネシアの2025年までの開発計画「経済開発加速化・拡大マスタープラン」では,首都圏の開発が主要な活動の一つとされており,「中期国家開発計画」(2012~2014)では,都市交通セクターの開発政策として,交通インフラ並びに輸送容量の拡大等の対策が掲げられており,特に公共交通機関の強化等鉄道網の整備の必要性が挙げられている。
イ 我が国の基本政策との関係
2012年4月に発表した対インドネシア国別援助方針では,(1)更なる経済成長,(2)不均衡の是正と安全な社会造り,(3)アジア地域及び国際社会の課題への対応能力向上を重点分野としている。(1)では,経済成長を促進するため,鉄道網の拡大・強化も含めた支援を行うこととしており,本計画の目的と合致する。
本計画では,新たに車両検査・整備場を建設するのではなく,既存の設備を拡張することによって,効率的に鉄道整備能力の向上を図る。
本計画によってジャカルタ首都圏の鉄道網における事故等が減少することにより,鉄道混雑の緩和,ひいてはインドネシア経済の効率性向上が期待できる。特に,ジャカルタ首都圏の投資環境改善に寄与する(完成2年後(2021年)見込み:旅客輸送量(人・km/日)が11,346,212から24,643,000に増加)。
要請書,インドネシア国別評価報告書,JICA環境社会配慮ガイドライン,その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要( http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/region/e_asia/indonesia/exchange.html ),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース( http://www.jica.go.jp/press/index.html ),事業事前評価表( http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html )を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。