広報・資料 報告書・資料

政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成26年2月17日
評価責任者:国別開発協力第一課長 宮下 匡之

1 案件概要

(1)供与国名

インドネシア共和国

(2)案件名

ジャワ南線複線化計画(第四期)

(3)目的・事業内容

本計画は,中部ジャワに位置するジャワ南線のクロヤ-クトアルジョ間の複線化を行うことにより,線路容量の増強及び将来の輸送需要増加への対応を図るもの。

ア 主要事業内容

・土木工事・資機材
・コンサルティング・サービス

イ 供与条件

供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
168.75億円 年1.4% 25(7)年 アンタイド

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

ア 環境影響評価(EIA)報告書は,2006年10月に中部ジャワ州より承認済み。

イ 本計画は約9.2haの用地取得,49世帯の住民移転を伴う。用地取得は,インドネシアの国内法に沿って進められる。

ウ 本計画は,インドネシア運輸省鉄道総局が環境影響評価報告書の環境モニタリングに基づき,騒音,振動,大気汚染,水質汚濁等のモニタリングを実施する。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

ア 開発ニーズ

ジャワ島における長距離鉄道の年間乗客数(ジャカルタ首都圏の近郊鉄道を除く)は,2006年から2010年までの5年間,毎年平均約9%の堅調な伸びを示しており,2030年に延べ約8億人の鉄道旅客需要を見込んでいる。ジャワ幹線は北線,南線,バンドン線の3線により構成されているが,特にバンドン線が南線に合流するクロヤからジョグジャカルタの区間は混雑が激しく,線路容量の増大が課題とされている。本計画の対象区間であるクロヤ-クトアルジョ間の単線の線路容量は一日に93本(2010年時点)であるが,2020年には輸送需要がこれを超えることが予想されており,輸送量の増加が急務となっている。また,ジャワ南線チレボン~スラバヤ間の内,複線化が事業化されていないのは本計画対象区間のみであり,増加する需要に即した輸送容量を確保する本計画のニーズは高い。

イ 我が国の基本政策との関係

2012年4月に発表した対インドネシア国別援助方針では,(1)更なる経済成長,(2)不均衡の是正と安全な社会造り,(3)アジア地域及び国際社会の課題への対応能力向上を重点分野としている。(1)では,経済成長を促進するため,鉄道網の拡大・強化を含めた支援も行うこととしており,本計画の目的と合致する。

(2)効率性

本計画では,インドネシア鉄道公社が既存軌道・橋梁の修復と新線軌道・橋梁の敷設を並行して行うことが想定されている。「ジャワ南線複線化計画第一期及び第二期」でも,そのような並行的な工事が実施され,路線整備を効率的に行った。

(3)有効性

本計画を通じて,鉄道混雑の緩和,交通渋滞の緩和に貢献することにより,インドネシア経済の効率性向上が期待できる。特に,中部ジャワ地域の投資環境改善及び経済発展に寄与する(完成2年後(2019年)見込み:旅客数が11,376千人から12,989千人,貨物量が499千トンから2,744千トンに増加)。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

要請書,インドネシア国別評価報告書,JICA環境社会配慮ガイドライン,その他国際協力機構より提出された資料。

案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要( http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/region/e_asia/indonesia/exchange.html ),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース( http://www.jica.go.jp/press/index.html ),事業事前評価表( http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html )を参照。

なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

このページのトップへ戻る
目次へ戻る