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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成26年3月20日
評価責任者:国別開発協力第二課長 花尻 卓

1. 案件概要

(1)供与国名

インド

(2)案件名

アグラ上水道整備計画(II)

(3)目的・事業内容

2006年度に円借款が供与された「アグラ上水道整備計画」に対し,資機材価格の高騰等を理由とする事業費の増加に対処するため,追加的に円借款を供与し,インド北部ウッタル・プラデシュ州において,ガンジス上流灌漑水路を水源とするアグラ市及びその周辺地域向けの導水施設の建設,アグラ市の既存の上水道施設の改修・拡張等を行うことにより,安全かつ安定的な上水道サービスの提供を図り,同地域の貧困層を含む住民の生活環境の改善に寄与するもの。

(ア)主要事業内容

  1. 上水道施設の改修及び拡張
  2. 住民への啓発活動,貧困層戸別接続支援
  3. コンサルティング・サービス

(イ)供与条件

供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
162.79億円 1.40% 30(10)年 一般アンタイド

(注)コンサルタント部分は金利0.01%を適用。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

(ア)EIA(環境影響評価)

影響を及ぼしやすいセクター・特性及び影響を受けやすい地域に該当せず,環境への望ましくない影響は重大でないと判断される。

(イ)用地取得

同国国内手続に沿って6.3ヘクタールの用地取得を完了。導水管敷設に伴う一時的な175.4ヘクタールの土地利用については,対象土地及びその住民の特定等の調査は完了し,工事進捗に伴い同国国内手続に沿って補償手当が支払われる。住民移転は発生しない。

(ウ)外部要因リスク:特になし。

2. 資金協力案件の評価

(1)必要性

(ア)開発ニーズ

アグラ市はインド有数の観光地であるが,同市及び周辺地域の上水供給量は急増する需要に対応することができていない一方,今後も急激な人口増加が予測されており,生活用水や商業用水等の大幅な需要増加が見込まれる。さらに,同市及び周辺地域への給水源であるヤムナ河は,上流に位置するデリー等の大都市からの未処理下水が流入することで水質汚濁が進み,その浄化のために大量の塩素の使用が必要であるため浄化コストが高くなるとともに,健康面への影響等が懸念されている。このため,新たな水源開発が必要とされており,本計画のニーズは大きい。

(イ)我が国の基本政策との関係

2006年6月に策定された「国別援助計画」においては,今後の対インドODAの重点目標として,(a)経済成長の促進(「経済成長を通じた貧困削減」を追求するためのインフラの整備等),(b)貧困・環境問題の改善及び(c)人材育成・交流拡大(強固な二国間関係の構築を念頭)を掲げている。本計画は,安定的な上水道サービスの提供の促進という観点から,同国のインフラ整備に資する案件として上記(a)に,また,保健・衛生,都市環境の改善に資する案件として上記(b)に資するものであり,我が国の基本政策とも合致する。

(2)効率性

本計画の実施機関であるウッタル・プラデシュ州灌漑局及びアグラ市上水道局について,現在実施中のインドの上下水道事業実施機関の組織強化に関する調査の結果を踏まえて組織強化を図ることにより,効率性を図る。

(3)有効性

本計画の実施により,安全かつ安定的な上水道サービスの提供に寄与することが期待される。運用・効果指標として,給水人口(2005年:92万3千人→完成2年後(2020年)見込み:157万人),給水量(2005年:1日当たり238,090立方メートル→完成2年後(2020年)見込み:1日当たり513,000立方メートル),飲料水としての利用人口の割合(2005年:20%→完成2年後(2020年)見込み:80%)等を設定している。

3. 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

要請書,インド国別評価(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/kunibetu/indo.html),国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/index.html他のサイトへ),その他国際協力機構より提出された資料。

案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html他のサイトへ)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html他のサイトへ)を参照。

なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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