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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成26年3月20日
評価責任者:国別開発協力第二課長 花尻 卓

1. 案件概要

(1)供与国名

インド

(2)案件名

ハリヤナ州配電設備改善計画

(3)目的・事業内容

インド北部のハリヤナ州において,配電設備の改善を行うことにより,配電ロス率の低減及び電力の安定供給の達成を図り,地域の経済発展及び生活水準の向上に寄与するもの。

(ア)主要事業内容

  1. 配電線の新設・張替に伴う資機材の調達,土木工事
  2. 変電所の新設及び増設に伴う資機材の調達,土木工事
  3. 自動検針電力計(AMR)及びAMRサーバーの導入(北部のみ)
  4. メーターボックス及びメーターの設置
  5. メーター試験設備及び機材試験設備の増設
  6. 変圧器その他機器の調達
  7. コンサルティング・サービス

(イ)供与条件

供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
268.00億円 0.80% 20(6)年 一般アンタイド

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

(ア)EIA(環境影響評価)

影響を及ぼしやすいセクター・特性及び影響を受けやすい地域に該当せず,環境への望ましくない影響は重大でないと判断される。

(イ)用地取得

用地取得及び住民移転は伴わない見込みである。

(ウ)外部要因リスク:特になし。

2. 資金協力案件の評価

(1)必要性

(ア)開発ニーズ

インドでは,近年の急速な経済成長にともない,エネルギー消費が増加を続ける一方,供給能力が需要の拡大に追いついておらず,2012年度(2012年4月~2013年3月)には,電力供給量は8.7%不足,ピーク時出力は9.0%不足となっていた。さらに,送配電ロス率も,2011年度のインド全国平均で23.7%と高い状況となっている。ハリヤナ州においても2012年末時点で,電力供給量は年7.7%強の不足,ピーク時出力は9.5%不足であった。以上の現況から,インドにおける新規電源開発,送配電網の整備及び送配電ロス率低下は急務となっており,インド政府の第12次5か年計画(2012年4月~2017年3月)もこれらの目標を掲げている。そして,ハリヤナ州では同計画期間内に2,002メガワットの新規電源開発とこれに対応する送配電網の整備を目指しており,本計画のニーズは大きい。

(イ)我が国の基本政策との関係

2006年6月に策定された「国別援助計画」においては,今後の対インドODAの重点目標として,(a)経済成長の促進(「経済成長を通じた貧困削減」を追求するためのインフラの整備等),(b)貧困・環境問題の改善及び(c)人材育成・交流拡大(強固な二国間関係の構築を念頭)を掲げている。本計画は,電力の安定的供給の促進という観点から,同国のインフラ整備に資する案件として上記(a)に資するものであり,我が国の基本政策とも合致する。

(2)効率性

盗電やメーターの細工等による電力料金未収を防止するためのAMRやメーターボックスを導入するとともに,実施機関である北部ハリヤナ配電公社及び南部ハリヤナ配電公社の財務改革計画目標の達成に向けた進捗を定期的にモニタリングすることにより効率性を図る。

(3)有効性

本計画の実施により,電力供給の安定化及び配電ロス率の低減の達成に寄与することが期待される。運用・効果指標として,変電設備増加容量(2012年:0メガボルトアンペア→完成2年後(2021年)見込み:1,905メガボルトアンペア),配電ロス率(北部,南部でそれぞれ2012年:44.00%,24.84%→完成2年後(2021年)見込み:14.60%,12.18%)等を設定している。

3. 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

要請書,インド国別評価(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/kunibetu/indo.html),国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/index.html他のサイトへ),その他国際協力機構より提出された資料。

案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html他のサイトへ)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html他のサイトへ)を参照。

なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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