評価年月日:平成26年3月14日
評価責任者:国別開発協力第二課長 花尻 卓
インド
中小零細企業・省エネ支援計画(フェーズ3)
インド小企業開発銀行(SIDBI)を通じて,インドの中小零細企業に対し,省エネルギーの取組(一部医療分野)に必要な中長期資金を供給するもの。
(ア)主要事業内容
資金供与(SIDBIからの転貸等を通じたツー(スリー)ステップローンの実施)
(イ)供与条件
供与限度額 | 金利 | 償還(うち据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
300.00億円 | 0.15% | 15(5)年 | 一般アンタイド |
(注)金利は,優先条件(環境)(オプション3)を適用。
(ア)EIA(環境影響評価)
本計画は,供与前にサブ・プロジェクトが特定できず,かつ,そのサブ・プロジェクトが環境への影響を及ぼす可能性があり,実施機関により,サブ・プロジェクト毎に必要となる対応がとられる予定。なお,本計画は,省エネを目的とする設備投資を主としており,サブ・プロジェクトに環境への望ましくない影響が重大と判断されるものは含まない。
(イ)用地取得
本計画において,用地取得及び住民移転を伴うサブ・プロジェクトは対象外である。
(ウ)外部要因リスク:特になし。
(ア)開発ニーズ
インドにおいては,近年の経済成長に伴い,エネルギー消費の増加が続いており,世界第4位のエネルギー消費国となっている。今後もエネルギー需要は増加を続けると見込まれており,エネルギー安定供給及び環境保全のためには,エネルギーの効率的な利用(省エネルギー)を進めることが急務となっている。とりわけ,中小零細企業はインド全体の製造業の約45%,輸出の43%を担いインド経済への影響が大きいが,設備の老朽化等によるエネルギー消費効率の低さが指摘されている。また,中小零細企業は,大企業と比較して省エネルギーに資する設備投資のための資金調達能力や技術・ノウハウが限られていることや,省エネルギーの重要性に対する意識が総じて低いこともあり,省エネルギーへの取り組みが依然として遅れている。このような現況から本計画のニーズは大きい。
(イ)我が国の基本政策との関係
2006年6月に策定された「国別援助計画」においては,今後の対インドODAの重点目標として,(a)経済成長の促進(「経済成長を通じた貧困削減」を追求するためのインフラの整備等),(b)貧困・環境問題の改善及び(c)人材育成・交流拡大(強固な二国間関係の構築を念頭)を掲げている。本計画は,エネルギーの効率的利用(省エネ)の促進という観点から,同国の環境問題の改善に資する案件として上記(b)に資するものであり,我が国の基本政策とも合致する。
他ドナーとの情報交換等を通じて,サブ・プロジェクトの重複を避けるのみならず,相互補完を強化することにより,効率的な支援を実施する。また,実施機関の融資審査能力等の強化のために技術支援を実施し,効率的な運営及び維持管理を図ることとしている。
本計画の実施により,インド中小零細企業による省エネルギーへの取り組み推進を図り,もってインドの環境改善,持続的な経済発展及び気候変動の緩和に寄与することが期待される(事業完成2年後(2021年)見込み:サブローンの承諾・貸付総件数2,000件,全額貸付完了。エネルギー消費削減量指標等については,事業開始時に設定。)。
要請書,インド国別評価(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/kunibetu/indo.html),国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/index.html),その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。