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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成25年5月8日
評価責任者:国別開発協力第二課長 徳田修一

1. 案件概要

(1)供与国名

インド

(2)案件名

ムンバイメトロ三号線建設計画

(3)目的・事業内容

インド南部マハラシュトラ州ムンバイ市において,都市鉄道整備計画第1フェーズ(1-3号線合計約77.7キロメートル)のうち3号線全線(全線地下:約33.5キロメートル)の整備を行うもの。

ア 主要事業内容

(1)土木工事(全線地下約33.5キロメートル(地下駅26駅を含む))
(2)電気・通信・信号関連工事
(3)車両調達
(4)コンサルティング・サービス

イ 供与条件

供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
710.00億円 1.40% 30(10)年 一般アンタイド

(注)コンサルタント部分は金利0.01%を適用。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

ア EIA(環境影響評価)

本計画の実施に際しては,汚染対策等の環境社会配慮が行われ,重大で望ましくない影響が発生する可能性は低いものと判断される。なお,本件に係る環境影響評価報告書は,インド国内法(国法)上は義務付けられていないものの,2012年9月に作成済みである。

イ 用地取得

本計画は,約45.81ヘクタールの用地取得及び約1,442世帯の住民移転を伴い,インドの国内手続に沿って取得が進められる。なお,本計画の実施段階において,用地取得・非自発的住民移転の実施状況につき,定期的に確認する必要がある。

ウ 外部要因リスク:特になし。

2. 資金協力案件の評価

(1)必要性

ア 開発ニーズ

マハラシュトラ州ムンバイ都市圏は,インド最大の人口(2011年時点で1,248万人)を有するインド最大の都市圏である。その中心であるムンバイ市の人口密度は非常に高く(20,694人/平方キロメートル),自動車登録台数もこの10年で2倍近く急増しており,交通渋滞及び自動車公害が深刻化している。その一方で,用地不足から道路網の拡充が難しく,既存の公共交通であるバスの輸送能力の大幅な向上も困難である。以上の現況から,大容量の公共交通システムの早急な整備が強く求められており,本計画のニーズは大きい。

イ 我が国の基本政策との関係

2006年6月に策定された「国別援助計画」においては,今後の対インドODAの重点目標として,(a)経済成長の促進(「経済成長を通じた貧困削減」を追求するためのインフラの整備等),(b)貧困・環境問題の改善及び(c)人材育成・交流拡大(強固な二国間関係の構築を念頭)を掲げている。本計画は,都市交通システムの整備という観点から,同国のインフラ整備に資する案件として上記(a)に資するものであり,我が国の基本政策とも合致する。また,交通渋滞緩和を通じた都市環境の改善にも資しており,上記(b)に合致する側面も有している。

(2)効率性

効率的な実施及び運営維持管理のためには,財務的に自立した事業実施体制及び運営維持管理体制の確立が重要との認識の下,特別目的会社(SPV)を設立して事業実施に当たっており,完成後は同社が民間事業者に委託して運営維持管理に当たることを予定している。

(3)有効性

本計画の実施により,ムンバイ都市圏の増加する輸送需要への対応を図り,もって交通混雑の緩和と交通公害減少を通じた地域経済の発展及び都市環境の改善に寄与することが期待される(完成2年後(2021年)見込み:運行数676本/日・1方向,乗客輸送量1,290万人・キロメートル/日)。また,インドの経済・社会の発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。

3. 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

インド政府要請書,国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/index.html他のサイトへ),その他国際協力機構より提出された資料,インド国別評価(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/kunibetu/indo.html)。

案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html他のサイトへ)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html他のサイトへ)を参照。

なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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