評価年月日:平成25年12月12日
評価責任者:国別開発協力第三課長 貴島 善子
カーボヴェルデ共和国
サンティアゴ島上水道システム整備計画
カーボヴェルデ共和国の首都があるサンティアゴ島全体をカバーする海水淡水化施設及び送水施設を整備することにより同島内の飲料水供給の安定化及び安全な水へのアクセス改善を図り,もって同国国民の衛生・生活環境の向上及び同国経済の活性化に寄与するもの。
ア 主要事業内容
・給水施設の建設(海水淡水化施設(40,000m3/日),送水管(約130km)
・コンサルティングサービス
イ 供与条件
供与限度額 | 金利 | 償還(うち据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
152.92億円 | 年0.1% | 40(10)年 | 日本タイド |
(注)コンサルタント部分は金利0.01%を適用。
ア 環境影響評価(EIA)報告書は,2013年6月中に,環境・住宅・国土整備省の承認を取得予定。
イ 約1haの用地取得を伴うが,カーボヴェルデの国内法令に沿って取得が進められる。なお,住民移転は発生していない。
ウ 外部要因リスクは特になし。
ア 開発ニーズ
同国の,飲料水の1人当たり平均消費量(/日)は,各戸給水で約50リットル,公共水栓で15リットルと低水準に留まっており,人口増加もあり,給水施設の建設による給水量の増加が必要である。加えて,本計画が対象とし,同国の人口の約半数を抱え,飲料水需要の大きいサンティアゴ島では,従来自治体毎に給水計画が運営されており,渇水期における自治体間の水融通などによる水供給の経済的効率と安定を確保することが課題となっており,同島全体をカバーする送水網の建設は,島全体での安全な飲料水の安定供給に必要である。
イ 我が国の基本政策との関係
我が国は,カーボヴェルデに対する支援において,「経済・社会基盤強化」を援助重点分野に掲げており,本件は右重点分野に合致する。また,本支援は,淡水化技術を含む本邦技術の普及・展開を図る政府方針に合致する。
過去の類似案件の評価等を踏まえ,円借款対象外であり先方政府負担で実施予定の配水事業の円滑な実施を確保するために,同事業を担う中央省庁及び自治体の関係機関の連携をF/S調査段階から実施している。また,本計画の実施と関連する水セクター改革を実施する他ドナーとの連携により効率的な案件実施を図る。
海水淡水化施設及び送水施設を整備することにより,人口増加や各戸給水量の改善による需要増加が見込まれる同島の水供給体制の向上を図る。加えて,水道普及率の向上(54.6%(2012年)→95.0%(完成2年後(2020年)見込み),淡水化給水量の増加(11,700(m3/日)→55,000(m3/日)完成2年後(2020年)見込み)により,同島内の飲料水供給の安定化及び安全な水へのアクセス改善を図り,もって同国国民の衛生・生活環境の向上及び同国経済の活性化に寄与し,同国における水資源の減少を含む同国における気候変動のリスクに対する脆弱性の低減に寄与すると見込まれる。
要請書,これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html),その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。