評価年月日:平成25年10月16日
評価責任者:国別開発協力第三課長 貴島 善子
タンザニア連合共和国
タボラ州水供給計画
本計画は、タンザニア中西部のタボラ州において、手押しポンプ式深井戸給水施設等の整備や地下水探査機材の供与を行うとともに、地方自治体等の運営・維持管理能力等の向上を支援するものである。地盤の大半が基盤岩に覆われ、地下水開発が難しく、全国でも最低レベルにある同州の安全な水へのアクセス率を改善するとともに、住民参加型運営・維持管理体制の構築による持続的な給水施設の利用を促進することを目的とする。供与限度額は17億9,200万円である。
特になし。
ア タンザニアは国家貧困削減戦略において、生活の質と社会福祉の向上を重点分野の一つとし、水・衛生分野においては給水率の向上を掲げ、給水施設の建設・改修等を進めている。また、2002年に策定された国家水政策及び2006年に策定された水セクター開発計画においては、住民の住居から400m以内に給水施設を整備することを目指し、バスケットファンド(地方自治体が自由な裁量で使用できる交付金)を通じて給水率の向上を図っている。
イ タンザニア中西部にあるタボラ州は、地盤の大半が基盤岩に覆われており、地下水開発が難しく、給水施設の建設が進んでいない。その結果、同州において安全な水にアクセスできる世帯数は全国でも最低レベルの49.1%にとどまっている。また、既存の給水施設も、故障等により稼働率が40%前後にとどまっている。そのため、住民の多くが水を確保するために長時間を要し、特に女性や子供にとって大きな負担となっているほか、汚染された不衛生なたまり水や地表水を飲用している住民も少なくないため、高い乳幼児死亡率や水因性疾病の罹患率が問題となっており、同州の給水環境の早急な改善が必要である。
ア 本案件は、我が国が支援した開発計画調査「タボラ州地方給水・衛生計画策定支援プロジェクト」の一年次において策定されたマスタープランにおける優先度の高い地区において実施するものである。
イ また、タンザニアにおける水セクター開発については、世界銀行等の他ドナーも支援しているが、本案件の対象地域との重複はない。
本件の実施により、以下のような成果が期待される。
ア 給水人口(400m以内の距離で安全で衛生的な水の供給を享受できる住民の人口)及び給水率(住民総数に対する給水人口の割合)が格段に増加する。(対象地域20村の給水人口が4,250人から44,977人に、給水率が7.8%から53.6%に増加)
イ 安全な水へのアクセスが改善することで女性や子供が水くみ労働に従事する時間が減少し、女性の社会進出や子供の学習機会の増加が期待されるほか、水因性疾病の減少が期待される。
ウ 住民参加による給水施設の運営・維持管理体制が構築され、持続的な給水施設の利用が期待される。
(1)タンザニア連合共和国政府からの要請書
(2)JICAの協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)