評価年月日:平成25年4月17日
評価責任者:国別開発協力第三課長 貴島 善子
タンザニア連合共和国
タザラ交差点改善計画
本計画は,タンザニア・ダルエスサラーム市の主要幹線道路の交差点であるタザラ交差点を立体交差化するものである。同交差点は,市の中心部から南西約8kmに位置し,同市内の主要幹線道路であるネルソンマンデラ道路とニエレレ道路の交差点である。タンザニア国内のみならず近隣内陸国にとっての物流の基点であるダルエスサラーム市の道路網及び道路状況の改善を通して,安全で円滑な市内交通を確保するとともに,人的移動・物流の活性化を通じ,タンザニア及び近隣内陸国の経済発展に寄与することを目的とする。供与限度額は31億2,700万円である。
以下の事項がタンザニア連合共和国政府により実施される必要がある。
ア 本計画により整備された道路及び橋梁の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
イ 本計画開始前に,用地取得,住民移転を含む環境社会面での適切な配慮及び本計画区域の障害物の除去等を行うこと。
ア タンザニア政府は,5カ年の国家開発計画である「成長と貧困削減のための国家戦略」において運輸・交通分野を重点分野として位置づけ,同分野の包括的な戦略文書である10カ年の投資計画「運輸・交通セクター投資計画」において道路分野を最大の投資分野として位置付けている。その中でも,都市交通の改善は優先事項として挙げられており,同政府は幹線道路の改修や公共交通機関の整備などに取り組んでいる。
イ ダルエスサラーム市においては,人口の増加と経済活動の活発化にともない,自動車の登録台数が急激に増加している。タザラ交差点は,港から内陸国へのルートと,空港と同市の中心部を結ぶ道路との交差点であり,慢性的に渋滞している。本交差点付近は日系企業も進出する工業地帯でもあり,渋滞により円滑な人や物資の移動が阻害され,市民生活のみならず企業活動にとってもボトルネックとなっているほか,内陸国も含めた物流の妨げにもなっている。
ウ ダルエスサラーム市の経済は今後も成長が見込まれ,人口増加も急速なスピードで進んでいるため,自動車登録台数も大幅に増加し,渋滞の更なる悪化が懸念される。この問題を解決するため,都市交通の早急な改善が必要である。
ア 我が国が支援した開発計画調査型技術協力「ダルエスサラーム市総合都市交通体系調査」において策定されたダルエスサラーム市の都市交通マスタープランにおいて,最も緊急に対応すべきものと認められた本交差点の改修等に絞り込んで効率良く実施するもの。
イ また,同市の道路網整備に対しては,世界銀行,EU等も支援しており,これらの支援との相乗効果により,渋滞緩和などの効果を最大限高めることとする。
本件の実施により,以下のような成果が期待される。
ア 本交差点の平均通過時間が,現状の166秒/台kmから大幅に改善される。
イ 移動時間の短縮により,輸送コストが低減し,ダルエスサラーム市における経済発展及び投資促進に寄与する。
ウ ダルエスサラーム市全体の交通円滑化に伴い,ダルエスサラーム港の国際港としての機能及び東部アフリカの経済回廊の強化に資する。
(1)タンザニア連合共和国政府からの要請書
(2)JICAの協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)